19日、バスケットボール男子日本代表国際強化試合「SoftBank CUP2023」東京大会が有明アリーナで行われた。FIBA(国際バスケットボール連盟)ランキング36位の日本代表(AKATSUKI JAPAN)が、同7位のスロベニア代表に68-103で敗れた。W杯本大会は25日に開幕。日本は初戦(同日)、FIBAランキング11位のドイツ代表と対戦する。

 

 ドンチッチ、23得点7リバウンド7アシスト(有明アリーナ)

日本代表 68-103 スロベニア代表

【第1Q】21-26【第2Q】15-24【第3Q】14-27【第4Q】18-26

 

「このスタイルでシュートが入らなかったら大変」
 試合後のトム・ホーバスHCが話したように、日本の生命線はスリーポイント(3P)シュート。この日の21.7%という成功率では話にならない。スロベニア代表という強豪相手でなくても勝利は難しいだろう。

 

 第1Qは決して悪い入りではなかった。先制はスロベニア。ティップオフ直後にフリーで決められた。それでも日本は富永啓生(アメリカ・ネブラスカ大学)のディープスリーで逆転。ルカ・ドンチッチに3Pでやり返されても吉井裕鷹(アルバルク東京)が3Pを沈めた。富樫勇樹(千葉ジェッツふなばし)の連続スリーもあり、このQの3P成功率は30%(5/15)。21-26で終えた。

 

 しかし勝機は時計の針を進めるたびに薄れていく。第2Qは3Pが1本しか入らず、成功率も23.1%まで下がった。第3Q、第4Qは2本ずつの成功で、トータル10/46で振るわなかった。NBAダラス・マーベリックスで活躍するドンチッチに面白いように攻められ、スロベニアの得点を止められない。終わってみれば、35点差の完敗。奇しくも一昨年の東京オリンピックと同じ点差(81-116)だ。

 

「もう勉強になったとは言いたくない」とはホーバスHC。強化試合3連戦はアンゴラ、フランス、スロベニアに1勝2敗。とはいえ、収穫がゼロだったわけではない。東京オリンピックのメンバーで、チーム最多の13得点を挙げた馬場雄大(テキサス・レジェンズ)は「ディフェンスでは収穫があったと思います。守りからプレッシャーをかけ、ターンオーバーを誘うのは僕たちがやりたいこと。そこからいい展開も生まれたので、本番までに精度を上げていきたいです」と語った。激しいプレスからボールを奪い、速攻からスコアする場面も見受けられた。またケガから復帰したジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)は12得点12リバウンド2ブロックとインサイドで奮闘。「まだ100%じゃない」(ホーバスHC)中で徐々に調子を上げているようだ。

 

 本番まであと6日で劇的に変わるとは思えない。もしこのチームが化けるとすれば、ドイツ戦で勝つことが何よりの特効薬となるだろう。勝機を見出すには、高さやパワーで劣る分、激しいプレスからの速攻など運動量でカバー。そして3Pを打ち続けることだ。この日、両軍最多の試投数(12)を記録した富永が「シューターがシュートを打たなかったら、チームにいる意味がなくなってしまう。責任を持って、打ち切って、決め切るだけだと思います」と話したようなメンタリティでいる必要がある。ドイツ戦で勢いに乗ることができれば、目標であるアジア1位も可能性が見えてくるはずだ。

 

 W杯でアジア最上位に入れば、パリオリンピックの出場権を獲得できる。この日の試合後、会場で壮行会が行われた。4日前のアンゴラとの強化試合で負傷し、フランスとスロベニア戦は欠場となった渡邊雄太(フェニックス・サンズ)もスピーチ。「パリに行けなかった場合、代表活動は最後にしようと思っている。それぐらい本気で今回臨んでいる。まだ代表のユニホームを着てプレーをし続けたい。沖縄で皆さんの力を貸してください」と自身の覚悟を口にし、共闘を呼び掛けた。

 

 馬場は「W杯で出ているチームの中で、僕たちが一番練習をしていると思っています。歴史を変える瞬間を皆さんと迎えたい」と言う。「信じなかった終わり。私たちは信じています」とはホーバスHC。グループリーグはドイツ、フィンランド、オーストラリアと対戦する。どのチームも格上。簡単な相手ではない。キャプテンの富樫は「(これまで一緒に戦ってきた)選手の想いと、ファンの皆さんの声援を背に沖縄で戦ってきます」と力強く宣言した。

 

(文/杉浦泰介、写真/©JBA)