2023年も多くの方にご愛読いただき、心より感謝申し上げます。

 

 今年は2月にプロフィギュアスケーターの羽生結弦選手が東京ドーム単独アイスショー「YuzuruHanyu ICE STORY 2023『GIFT』」を開催しました。東京ドームでアイスショーが開催されたのは史上初でした。チケットは完売、3万5000人が来場し、ライブビューイング視聴は国内外(日本、韓国、台湾、香港)で約3万を記録。プログラム構成は「序奏とロンド・カプリチオーソ」などアンコール含む計12項目でした。「羽生結弦のこれまでの半生とこれからを氷上で表現する物語――」を披露し、観る者を魅了しました。

 

 3月は栗山英樹監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」がWBCで世界一に輝き、国民に大きな感動を与えてくれました。準決勝・メキシコ戦、今大会、調子があがらなかった村上宗隆選手の劇的サヨナラ打は忘れられないでしょう。そして、迎えたアメリカ代表との決勝戦。3対2と侍ジャパンが1点リードで迎えた9回表。3番・指名打者で出場していた大谷翔平選手。DHが解除され、泥だらけのユニホームでマウンドに上がった姿は記憶に新しいでしょう。ラストバッターは当時、ロサンゼルス・エンゼルスで同僚だったマイク・トラウト選手を大きく曲がるスイープで三振に切ってとりました。

 

 8月はオーストラリア・ニュージーランドで女子サッカーワールドカップが開催されました。最終的にはスペイン代表の優勝で幕を閉じましたが、なでしこジャパンはグループリーグで今大会、スペインに唯一土をつけるなど、ベスト8にまで進出しました。なでしこジャパンの敗退が決まった後、FIFAのジャンニ・インファンティノ会長が彼女たちの戦いぶりを称賛するコメントを自身のSNSを通じて発信しました。会長が敗者について触れるのは異例中の異例。それほどなでしこ戦士たちの勇敢な戦いぶりに心を動かされた人々が多かったのでしょう。

 

 日本のプロ野球も盛り上がりました。阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に輝きました。阪神の指揮を執る岡田彰布監督が選手たちに重圧を与えないよう、敢えて「優勝」という単語は使わず、「アレ」と表現したことも話題となりました。結果的に「アレ(リーグ優勝)」を達成し、余勢を駆って「アレのアレ(日本一)」まで達成しました。「アレ(A.R.E)」は2023年のユーキャン新語・流行語大賞にも選ばれました。その他にも岡田監督の「おーん」や「はっきり言うて……」などの口癖が、多くのメディアに取り上げられました。

 

 12月には大橋ジム所属の井上尚弥選手がスーパーバンタム級4団体王座統一を達成しました。対戦相手のWBA&IBF王者のマーロン・タパレス選手(フィリピン)も粘りを見せましたが、10ラウンドに井上選手が右ストレートでKO勝ちを収めました。

 

 2024年は7月にパリ五輪が控えています。日本勢のメダルラッシュに期待したいですね! 来年もスポーツに熱狂しましょう。

 

 年末年始の風物詩、格闘技&駅伝 ~年末年始のスポーツスケジュール~

★12月31日★

<ボクシング世界戦> “大晦日男”井岡一翔、12度目のリングへ

 

 井岡一翔(志成)待望のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との統一戦は実現しなかったが、今年も大晦日のリングで1年を締めくくることを選んだ。2011年のWBC世界ミニマム級タイトルマッチを皮切りに、これまで12度、リングに上がった。通算成績は9勝1分け1敗。国内に限れば無敗を保持している“大晦日男”だ。

 

「勝つことに執着してやってきましたが、今回はKOを見せたいという気持ちが強い。自分のボクシングで見せられたらと思う」と井岡。ここ5試合は判定が続いており、最後のKO勝ちは、3年前の大晦日、田中恒成(畑中)とのWBOタイトルマッチまで遡る。井岡は「久しぶりに倒して会場の一体感をつくりたい」と語った。

 

 王者ではないが、WBAスーパーフライ級6位のホスベル・ペレス(ベネズエラ)は楽観視できる相手ではない。戦績は23戦20勝(18KO)3敗と危険なファイター。参謀役のホセ・アルフレド・カバジェロトレーナーはエストラーダのトレーナー兼マネジャーでもある。“アバランチャ(雪崩)”の異名を持つペレス。強打に飲み込まれれば、高度なボクシングテクニックを有する井岡とて、タダでは済まないだろう。

 

 エストラーダに関してはバンタム級に転向する噂もある。そうなった場合の今後について聞かれた際には、井岡は「ひとつの目標ですが、僕の戦いが終わけじゃない。自分の中では戦う意味はそこだけじゃない」と自身の転級は否定した。あくまで、こだわるのは“スーパーフライ級最強”の証明か――。そのためには、内容も求められる一戦となる。

 

▼LIFE TIME BOXING FIGHT18(東京・大田区総合体育館、16:50~)

 WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ 王者・井岡一翔(志成)vs.6位ホスベル・ペレス(ベネズエラ)

 

★1月1日★

<ニューイヤー駅伝> 4強の争い。カギはルーキーが握る!?

 

 元旦に上州路を駆け抜ける全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)。今大会は2009年以来、15年ぶりに区間距離と中継所が一新された。最長区間(21.9km)は4区から2区へと変わり、各チームのエースが序盤に登場し、いきなり火花を散らす。

 

 優勝争いは2015年大会から優勝を分け合う4チームが中心となるだろう。3連覇がかかるHonda、3大会ぶりの優勝を狙う富士通、最多優勝回数(25回)を誇る旭化成、4度目の優勝を目指すトヨタ自動車。いずれもトラック、マラソンの実力者を揃え戦力が充実している。勝負のカギはルーキーが握るかもしれない。

 

 前回王者のHondaはパリオリンピックマラソン代表に内定した小山直城らを擁する。区間賞は青木涼真(5区)1人だけだったが、5区間で区間3位以内と安定した力で2連覇を達成した。東京国際大学のダブルエース、ケニア出身のイェゴン・ヴィンセント、神奈川県出身の丹所健。2人のルーキーに注目したい。実業団駅伝デビューとなった東日本実業団駅伝ではヴィンセントが区間7位(2区)、丹所が区間4位(3位)とまずまずの走りを見せた。ヴィンセントはインターナショナル区間の4区起用が濃厚。丹所はまだ起用されるかどうかはわからないが、箱根を沸かせたルーキーが好走すれば、史上4チーム目の3連覇を後押しするはずだ。

 

 そのHondaに東日本で勝ったのが富士通。マラソン日本記録保持者の鈴木健吾はメンバーから外れたが、リオデジャネイロオリンピック3000m障害代表の塩尻和也が引っ張る。今季は日本選手権で5000mと1万mの2冠を達成し、1万mの日本記録を塗り替えた。富士通のルーキーで注目は順天堂大学出身の伊豫田達弥。東日本実業団駅伝で6区区間賞を獲得、優勝に貢献した。ニューイヤーでもチームを勢い付ける走りを見せたいところだ。

 

 トヨタ自動車の太田智樹は日本選手権1万mで塩尻に敗れたものの、従来の日本記録を上回るタイムでフィニッシュした。前回大会でも3区区間賞を獲得した実力者。他にも東京オリンピックマラソン代表の服部勇馬、世界陸上ブタペスト大会同代表の西山和弥らが控えるが、16年大会以来の優勝へはスーパールーキーの出来如何か。4年時にはエースとして駒澤大学を学生駅伝3冠に導き、1万mで2年連続世界陸上に出場した田澤廉。アジア選手権1万m金メダリストの走りが、王座奪還のキーポイントとなろう。

 

 名門・旭化成は11月の九州実業団対抗駅伝で黒崎播磨に先着を許したものの、ルーキーに勢いがある。創価大学卒の葛西潤、早稲田大学卒の井川龍人が11月に1万mで自己ベストを更新。12月には西脇工業卒の長嶋幸宝がU20日本歴代2位の好記録をマークした。前回は15位と厳しい結果に終わったが、成長著しい若手が追い風を吹かせられれば、ライバルたちを脅かす存在となるだろう。

 

◎全日本実業団対抗駅伝出場チーム
◎東日本
富士通 4年連続33回目
Honda 40年連続41回目
ロジスティード 12年連続12回目
SUBARU 3年連続23回目
ヤクルト 11年連続44回目
サンベルクス 4年連続6回目
Kao 9年連続61回目
コモディイイダ 5年連続5回目
プレス工業 4年ぶり12回目
埼玉医大グループ 2年連続3回目
富士山の銘水 初出場
NDソフト 3年ぶり3回目
コニカミノルタ 39年連続49回目
JR東日本 6年連続18回目
GMOインターネットグループ 5年連続5回目

 

◎中部
トヨタ自動車 35年連続45回目
トヨタ紡織 27年連続27回目
愛三工業 23年連続23回目
愛知製鋼 2年連続39回目
中央発條 10年連続41回目
NTN 3年連続59回目
トーエネック 12年連続14回目

 

◎北陸
YKK 32年連続34回目

 

◎関西
NTT西日本 16年連続59回目
SGホールディングス 29年連続30回目
住友電工 7年連続10回目
大塚製薬 4年連続29回目
大阪府警 2年ぶり11回目
大阪ガス 2年連続11回目

 

◎中国
中国電力 32年連続32回目
マツダ 22年連続59回目
中電工 28年連続28回目
JFEスチール 5年連続47回目

 

◎九州
黒崎播磨 13年連続36回目
旭化成 38年連続61回目
トヨタ自動車九州 15年連続22回目
九電工 49年連続55回目
安川電機 34年連続46回目
三菱重工 15年連続28回目
ひらまつ病院 3年ぶり5回目
西鉄 3年連続20回目

 

★1月2、3日★

<箱根駅伝> 駒大、史上初の2年連続3冠へ挑戦

 

 節目の100回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は連覇がかかる駒澤大学が大本命だ。出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)と全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本大学駅伝)でも圧倒的な強さを発揮し、史上初の2連続3冠へ王手を掛けた。鈴木芽吹(4年)、篠原倖太朗(3年)、佐藤圭汰(2年)の3本柱は健在。16人の登録メンバー中6人が前回大会の優勝メンバーで、今のところ死角は見当たらない。29日に発表された区間エントリーで鈴木は2区、佐藤が3区で篠原は補欠に入った。

 

 3本柱の他にも実力者が揃う。1区にエントリーされた白鳥哲汰(4年)、9区の花尾恭輔(4年)は1、2年時に箱根駅伝を経験。前回5区4位の山川拓馬(2年)、6区区間賞の伊藤蒼唯(2年)も補欠登録。経験者を山のスペシャリスト区間に回すのか、平地での起用もあり得る。前任の大八木弘明総監督から引き継ぎ、今季から指揮を執る藤田敦史監督の采配にも注目だ。

 

 対抗は前回大会2位の中央大学と同3位の青山学院大学か。最多97回目の出場となる中大は1区・溜池一太(2年)、2区・吉居大和(4年)、3区・中野翔太(4年)と、1~3区は前回と全く同じオーダーを組んだ。前回は吉居大和と中野が連続区間賞を獲得し、3区まで首位を走った。今回も先行逃げ切りを図る。まずは往路で勝負を仕掛けるということだろう。

 

 ここ10年で6度の総合優勝を誇る青学大は、層の厚さでは中大を上回る。エース格の佐藤一世(4年)が4区に入り、スペシャリスト区間は前々回の5区経験者の若林宏樹(3年)が2年ぶりの山登りを任された。1年時は3区(2位)、2年時は4区(2位)と好走の太田蒼生(3年)、出雲駅伝で2区区間賞を獲り、全日本大学駅伝では2区区間2位ながら従来の区間記録を更新した黒田朝日(2年)は補欠登録。2人のどちらかが当日変更でエース区間2区に入るのか。往路制覇が2年ぶりの総合優勝のカギを握りそうだ。

 

 2区のケニア人留学生スティーブン・ムチーニ(1年)の走り次第では、創価大学に3年ぶりの往路制覇の可能性が見えてくる。5区にエントリーされた吉田響(3年)は出雲駅伝、全日本大学駅伝で5区区間賞。箱根でシーズン5区区間賞総取りなるか。そのほか3000m障害で東京オリンピック7位入賞の三浦龍司(4年)の箱根路ラストラン。そして順天堂大学の吉岡大翔、東京農業大学の前田和摩というスーパールーキーの箱根デビューにも注目したい。

 

▼第100回箱根駅伝
2日 8:00往路スタート/大手町~箱根・芦ノ湖(5区間107.5km)
3日 8:00復路スタート/箱根・芦ノ湖~大手町(5区間109.6km)


<参加チーム>
駒澤大学、中央大学、青山学院大学、國學院大学、順天堂大学、早稲田大学、法政大学、創価大学、城西大学、東洋大学、大東文化大学、明治大学、帝京大学、日本体育大学、日本大学、立教大学、神奈川大学、国士舘大学、中央学院大学、東海大学、東京農業大学、駿河台大学、山梨学院大学