1日、第68回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)が群馬県庁駅前を発着地点に7区間全長100kmで行われ、トヨタ自動車が2016年大会以来、8年ぶりの優勝を果たした。優勝タイムは4時間49分2秒。2位は2分9秒差でHonda、3位には2分25秒差で旭化成が入った。

 

 1区は大塚製薬の清水颯大がスローペースの先頭集団から抜け出した。10km手前で清水に第2集団が追い付く。最後は服部弾馬(NTT西日本)との直接の叩き合いを制したヤクルトの田中直希が先頭で襷を繋いだ。2位は2秒差で服部、3位はコニカミノルタの砂岡拓磨が3秒差で、4位にはトヨタ自動車の大石港与が4秒差で中継所に到着した。今季限りで引退を表明している35歳の大石は最後のニューイヤー駅伝で好走し、後輩たちに後を託した。

 

 コース変更により21.9kmの最長区間となった2区。各チームのエース級が起用された。ここでトップに立ったのがトヨタ自動車の太田智樹だ。1区で区間賞を獲ったヤクルトの太田直希の兄。昨年は3区区間賞を獲っている実力者が2位のKaoと34秒差で3区の田澤簾に繋いだ。またこの区間で順位が変動。中国電力の菊地駿弥が24人(31位→7位)、安川電機の古賀淳紫が22人(35位→13位)、SGホールディングスの近藤幸太郎が18人(22位→4位)、黒崎播磨の細谷恭平が17人(26位→9位)を抜き、チームの順位を大きくジャンプアップさせた。

 

 太田智樹からトップで襷を受けた23歳の田澤は力強い走りで先頭をキープ。駒澤大学から昨春に加入したルーキーは、区間6位の走りで2位との差を58秒に広げた。2位には旭化成の好敵手・相澤晃とのつばぜり合いを制した伊藤達彦のHondaが浮上した。4区は外国人選手がエントリー可能なインターナショナル区間。トヨタ自動車の20歳コリル・フェリックスはHondaのルーキー、イェゴン・ヴィンセントに差を18秒詰められたものの、トップをキープして後続に繋いだ。

 

 トヨタ自動車の1人旅は、5区の田中秀幸、6区の西山雄介が区間賞でリードを広げた。田中は49秒、西山が36秒の貯金を増やし、アンカーの服部勇馬に襷を渡した。東京オリンピックマラソン代表の服部勇馬は区間3位の走りで、2位との差を詰められることなく、トップでフィニッシュテープを切った。

 

 トヨタ自動車はラストランとなった大石が流れをつくり、太田直樹がトップに立ってから一度も先頭を譲らなかった。35歳の大石と33歳の田中は15、16年の優勝メンバーであるベテランが牽引。30歳の服部勇馬、29歳の西山、26歳の太田智樹も区間上位の走りで続いた。そこに23歳の田澤、20歳のコリルと将来有望な若手も加わりバランスのいい布陣で8年ぶりの日本一を手にした。

 

(文/杉浦泰介)