箱根駅伝2024(第100回東京箱根間往復大学駅伝競走)の往路が2日、東京・大手町から神奈川・芦ノ湖までの5区間(107.5km)が行なわれた。節目の100回大会は例年より3校多い23校が参加した。青山学院大学が5時間18分14秒(往路新記録)で2年ぶり6度目の往路優勝を果たした。史上初の2季連続大学駅伝3冠がかかる駒澤大学はトップから2分38秒差の2位。3位は城西大学(トップから3分17秒差)だった。

 

 往路の順位は以下の通り。

 

(1)青山学院大(2)駒澤大(3)城西大(4)東洋大(5)早稲田大(6)國學院大(7)創価大(8)大東文化大(9)法政大(10)順天堂大(11)国士舘大(12)帝京大(13)中央大(14)駿河台大(15)山梨学院大(16)東海大(17)立教大(18)中央学院大(19)日本大(20)東京農業大(21)日本体育大(22)神奈川大(23)明治大

 

※往路、復路の総合で10位以内が次回大会のシード権を獲得。

 

 読売新聞東京本社前からのスタート。飛び出したのは駿河台大のスティーブン・レマイヤン(1年)だった。この留学生に駒沢大・篠原倖太朗(3年)、青山大・荒巻朋熙(2年)、國學院大・伊地知賢造(4年)が続いた。この4人が先頭集団、第2グループがその他の19人と大きな団子となった。9km過ぎ、先頭は駿河台のレマイヤンと駒大の篠原、3位に青学・篠原、國學院・伊地知の並びとなった。17.73km、六郷橋上り手前で駒大の篠原が仕掛け、レマイヤンを引きはがす。駒大・篠原は区間賞(1:01:02、歴代2位)の走りを見せ、鈴木芽吹(4年)に襷を渡した。駒大は優勝した出雲駅伝、全日本駅伝に次ぎ、3大駅伝の1区走者がいずれも区間賞を記録。トップから23秒差で創価大、3位は城西大、4位は日本大が続いた。5位東海大、6位駿河台大、7位帝京大、8位明治大、青山大は9位まで順位を下げた。10位は順天堂大だった。

 

 各校、エースを配置する傾向にある花の2区は往路最長の23.1km。9位の青学大・黒田朝日が徐々に順位をあげ、5km付近で5位集団の先頭に出た。14kmでは黒田が4位につけると、その400m後には3位集団の先頭に出た。一方、首位の駒大・鈴木芽吹(4年)は一人旅状態で襷を3区の佐藤圭汰(2年)につないだ。青学の黒田はトップから22秒差の2位で中継所を通過した。黒田は1時間6分7秒の区間賞を記録するテンポの良い走りを見せた。

 

 青学の勢いは止まらなかった。3区を託された青学・太田蒼生(3年)がまくりにまくった。前を走る“学生ナンバーワンランナー”佐藤圭太(2年)と開いた差をオーバーペースで詰める。そして7.6km、太田が佐藤の背中をピタリと捉えた。ここから息を整えるように佐藤の背中を追いかけた。13.93km付近で太田がトップに出る。佐藤は一瞬、4~5m離されるもののすぐに距離を詰め、横並びになった。16km過ぎに再び太田が前に出る。そしてサングラスを取り、ラストスパートをかけ、佐藤を振り切った。「そうそうそう! 動いている! さあ、いこう!」と青学の原晋監督が声をかけ、太田の背中を押した。その差4秒で佐藤も中継所に飛び込んだ。城西大初の留学生ランナー、ビクターキムタイ(2年)が3位で山中秀真(4年)に襷をつないだ。

 

 雨が強くなる中、4区を任された1位青学・佐藤一世(4年)は入りの1kmを2分40秒で駆け抜け、一気に2位駒大・山川拓馬(2年)と差を広げる。このあたりからだいぶ雨が強くなってきた。以降、上位の順位に入れ替わりはなくレースが進んだ。「4年間の思いを込めて快走しようぜ! 動いている!」と原監督は佐藤を鼓舞する。2位山川に「気持ちで走れ!最後、この1秒が大事!」と駒大・藤田敦史監督。佐藤は雨でびしょ濡れになった襷を右手に握りしめラストスパートし、5区走者・若林宏樹(3年)にしっかりと手渡した。トップから1分27秒差で駒大・山川は副キャプテンの金子伊吹(4年)に襷をつないだ。3位の城西大・山中秀真(4年)が「山の妖精」山本唯翔(4年)にトップとの差3分35秒で襷をつなぐ。「(平坦で)一旦、追いつかれても(上りに入れば)お前は強い」と城西大の櫛部静二監督は山の妖精を鼓舞した。

 

 840mの標高差と降りしきる雨がランナーたちを苦しめる5区。そんな中、首位を走る青学の若林宏樹(3年)は淡々と走る。時折、太腿を叩く素振りを見せたが1時間9分33秒の区間新の走りを見せた。しかし、3位を走る城西大の“山の妖精”山本が1時間9分15秒の走りで区間新をすぐさま塗り替えた。青学は3区から首位を一度も譲らずにフィニッシュ。5時間18分14秒は往路新記録だった。駒大は5区の金子伊吹が区間3位の走りで、往路2位(トップから+2分38秒)。城西大はトップから+3分17秒の3位だった。

 

 明日行われる復路、青学が逃げ切り2大会ぶりの総合優勝に輝くのか、史上初の2季連続3冠がかかる駒大が意地を見せるのか。それとも3位以下の大学が追い上げるのか。復路からも目が離せない。

 

(文/大木雄貴)