28日に開幕した北信越BCリーグは、AED普及拡大を目的とした「MIKITO AED PROJECT」を発表した。各会場の売店などで売られているシリコンバンドの収益金がAED購入に充てられ、球団を通じて各県に寄贈されるというものだ。
 これは2006年7月9日に試合前の練習中に突然、急性心不全で倒れ、亡くなった水島樹人君のことを知った村山哲二代表と新潟アルビレックスBC・石田慶太郎社長が「このリーグで夢をもつ子供たちに、二度と同じことが起こらないように何かできないだろうか」という思いから考案された。これに各球団の監督も賛同し、プロジェクトとして立ち上げられた。水島君は当時、小学4年生で新潟・糸魚川市の少年野球チームの所属。糸魚川市の夏季大会準決勝で、試合前のランニング時に崩れるようにして倒れた。すぐに病院に運ばれたが、水島君が目を開けることはなかった。もし、球場にAEDがあれば、水島君は一命をとりとめられた可能性がある。

 三条市民球場で開かれた記者会見には、石田社長、新潟アルビレックスBC・後藤孝志監督、富山サンダーバーズ・鈴木康友監督とともに母親の水島正江さんが出席。「樹人の代わりに野球をやることはできないが、何か代わりにしてあげられることはないかと考えていた。開幕の今日、樹人のグローブと写真を持って見ていたが、樹人も天国で見ているだろうと思うと、涙が出た。でも、スタンドで元気に応援している子供たちの声が聞けてうれしかった。AEDで助かる命があるということを、このプロジェクトで多くの人に知ってもらいたいと思う」と語った。

 AEDとは、血液を流す機能を失った状態の心臓に電気ショックを与え、正常な働きに回復させる自動体外式除細動器のこと。2007年4月より、一般者でも使用できるようになり、空港、駅、スポーツクラブ、学校などに設置されている。