日本のエースが悲願の王座奪還に向け、好スタートを切った。
 4月9日、「K-1 WORLD MAX 2008 世界一決定トーナメント FINAL16」が広島グリーンアリーナで行われ、2003年以来の世界王座奪取を目指す魔裟斗(シルバーウルフ)がヴァージル・カラコダ(南アフリカ)を3R21秒、KOで下した。
 佐藤嘉洋(フルキャスト)はムラット・ディレッキー(トルコ)に判定勝ち、日本トーナメントを制した城戸康裕(谷山ジム)はアジア王者のイム・チビン(韓国)に1R40秒KO勝利で、日本人3選手が揃ってベスト8進出を決めた。
 2003年以来の王座奪還を目指す魔裟斗は、前日会見で「パンチでも蹴りでも勝てる」と自信を見せていたとおり、元ボクシングIBC世界王者のカラコダと真っ向から打ち合う。魔裟斗の回転の速いパンチにカラコダは固いディフェンスを見せる。ともに有効打がないまま迎えた最終ラウンド、相手が前に出てきたところに魔裟斗が右フックをヒットさせ、カラコダをマットに沈めた。
 昨年の世界一決定トーナメントでは、ブアカーオにリベンジするも決勝でサワーの前に無念のTKO負けを喫した魔裟斗。実力者のカラコダに快勝し、日本のエースが世界の頂点に向け、好発進した。

“日本人2番手”の地位から脱することを宣言している佐藤は、アルバート・クラウスにKO勝ちをおさめるなど勢いに乗るディレッキーと対戦。序番こそ、リーチの差を感じさせずパンチを打ち込んでくるディレッキーの回転の速さに攻めあぐねていた佐藤だが、2R以降は得意のローキックを中心に攻撃し、徐々にディレッキーの足を止める。判定3−0で佐藤が次戦への進出を決めた。
 アジア大会を全試合KO勝利で制したイム・チビンと対戦した城戸は、右ヒザ蹴りが相手のアゴに入り、開始わずか40秒でKO勝ちをおさめた。

 1回戦で注目を集めたのが、ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ)と アルバート・クラウス(オランダ)の元王者対決。前に出て接近戦に持ち込もうとするクラウスと、距離をとりながらパンチと左ミドル、右ローを繰り出していくブアカーオ。有効打ではブアカーオが優勢かと思われたが、本戦の結果はドロー。延長戦も互いに譲らず、ともに決め手を欠いたが、ブアカーオが判定3−0で勝利をあげた。
 王者アンディ・サワー(オランダ)は豪腕マイク・ザンビディス(ギリシャ)に苦戦するも、延長ラウンド2分05秒、左ハイキックをヒットさせKO勝利。王者の底力を見せた。

 このほか、アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ)、ドラゴ(アルメニア)、ワレン・スティーブルマンズ(南アフリカ)がそれぞれ勝利し、ベスト8進出を決めた。
 10日には勝ち上がった選手による、2回戦(7月7日・日本武道館)の組み合わせ抽選会が行われる。
 
「K-1 WORLD YOUTH 2008特別試合」として行われた、HIROYA(フリー)と藤鬥嘩裟(藤ジム)の10代の実力者対決は、中盤まで両者一歩も譲らない接戦となったが、3R、HIROYAの重い左ボディに藤がたまらず後退。ダウンこそ奪えなかったが、HIROYAがK-1でのキャリアを見せ、判定3−0で勝利をおさめた。試合前は舌戦を繰り広げていた両者だが、試合後には互いの健闘を称えた。

 試合結果は以下のとおり。

<オープニングファイト第1試合>
○瀧谷渉太(全日本新武道連盟 桜塾)
3R判定 2−1
×ヴィッタリー・リスニアク(ウクライナ)

<オープニングファイト第2試合>
○山本優弥(日本/全日本キックボクシング連盟/青春塾)
3R判定 3−0
×マルフィオ“ザ・ウォーリャータイガー”カノレッティ(ブラジル/シッチマスターロニー)

<第1試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○ドラゴ(アルメニア/ショータイム)
3R 2分56秒KO
×GORI(米国/PUREBRED大阪)

<第2試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○城戸康裕(日本/谷山/2008日本トーナメント優勝)
1R 0分40秒KO
×イム・チビン(韓国/KHAN)

<第3試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○ワレン・スティーブルマンズ(南アフリカ/ボス)
2R 1分06秒KO
×サロ“ザ・シシリアンドン”プレスティ
(イタリア/チームアーツ)

<第4試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ)
3R判定ドロー 0−0 延長R 2分05秒KO
×マイク・ザンビディス(ギリシャ/Zambidis Club)

<第5試合>
○HIROYA(日本/フリー)
3R判定 3−0
×藤鬥嘩裟(日本/藤ジム)

<第6試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○佐藤嘉洋(フルキャスト/名古屋JKファクトリー)
3R判定 3−0
×ムラット・ディレッキー(トルコ/ユニバーサル)

<第7試合>
○アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテンオデッサ)
3R判定ドロー 0−0 延長R判定 3−0
×ジョーダン・タイ(ニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)

<第8試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムック)
3R判定ドロー 0−0 延長R判定 3−0
×アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ/2002世界トーナメント優勝)

<第9試合> ※世界一決定トーナメント FINAL16
○魔裟斗(日本/シルバーウルフ)
3R 0分22秒 KO
×ヴァージル・カラコダ(南アフリカ/ウォーリアーズ・ミックスマーシャルアーツ・アカデミー)