FULLCAST RAISERZ、拳突き上げ悲願の初優勝 ~D.LEAGUE~

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 日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE2025-26」のCHAMPIONSHIP(CS)が31日、TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)で行なわれた。レギュラーシーズンの各ブロック上位3チームで争われたCSは、ファイナルでBLOCK VIBE優勝のFULLCAST RAISERZ(フルキャスト レザーズ)がBLOCK HYPE3位のMedical Concierge I'moon(メディカル・コンシェルジュ アイ・ムーン)を50.95対49.05の僅差で破り、リーグ初優勝を果たした。連覇がかかったCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)はセミファイナルでI'moon(メディカル・コンシェルジュ アイ・ムーン)に敗れたものの、3位決定戦でKOSÉ 8ROCKS(コーセーエイトロックス)に勝利し、3位に入った。CSのMVDはRAISERZのリーダーInfinity Twiggz(インフィニティ ツイッグス)が輝いた。

 

 5度目のCSにして初の戴冠だ。昨季は最下位に終わったRAISERZが逆襲劇を演じてみせた。

 

 停電による影響で開始が1時間遅れるアクシデントに見舞われた。それを感じさせぬパフォーマンスを見せるのがDリーガーのすごさか。26-27シーズンのCSは、BLOCK VIBE3位のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)とBLOCK HYPE2位の8ROCKSによる1st TRIAL MATCH、がっぷり四つのスタイルウォーズで開演だ。先攻はヒップホップで勝負したDREAMS。昨季までレギュラーダンサーだったITTAをSPで起用した。エースには生粋のバトラーFLAMEが任された。テーマを「説明不要」としたようにヒップホップ濃度が高い作品となった。個人的には野性味溢れるFLAMEの動きには目を奪われた。ROUND.5のRAISERZ戦でも感じたが、相手を“食ってやる”との気概がそこかしこに見て取れた。

 
 後攻の8ROCKSも“説明不要”のブレイキンで迎え撃つ。テーマは「NO LIMIT」。初戦からアクセル全開の疾走感あるショーケースで会場を沸かす。スピーディーでダイナミックな技の数々はもちろんだが、スクラッチ音に合わせ、フロアを滑るように動き回るなど、止め、決めの高クオリティーを維持する“限界突破”のスキルを見せつけた。ブレイキンの世界王者経験のあるShigekixとISSEIを同時起用し、ソロパートでカマしつつ、合わせる振りもなんなくこなす。Ryo-Spinのエースは地面にめり込みそうなくらいのハイスピードのヘッドスピン。ジャッジは57.5対42.5で8ROCKSに軍配が上がった。
 
 2nd TRIAL MATCHはCS初出場のI'moonがBLOCK VIBE2位で、2季ぶり2度目のCSとなったDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)に挑んだ。先攻のI'moonの作品テーマは「FULL MOON LADY」。過去作品の「SEXY LADY」(23 -24)、「ELEGANT LADY」(24-25)、「UNSTOPPABLE LADY」(25-26)を彷彿させるデジタルサウンドに合わせたファンキーなショーケースとなった。衣装はI'moonの通常ユニホームの右半分を黄色にリメイク。黄色のハットを被り、月明かりを纏い、強敵に向かって行った。ワック、ロッキン、ポッピンを織り交ぜた。エースを任されたのは、レギュラーシーズンを合わせて今季5度目のMEME。パワフルなアームスイングと表情で締めた。
 
 後攻のMESSENGERSは「月食」を作品テーマで迎え討った。I'moonが華やかさのあるポップな作品だとするならば、こちらは無機質でドープな作品だ。エースのYUUSHINは、MEMEを意識してか、腕を振り回す場面も。ステージ上を走り回るように目まぐるしく転換していく。 MESSENGERSにとって、このステージは、まるで自分たちの遊び場のように、自由で、そして奔放に舞っていた。かといってバラバラではなく、ひとつの集合体として成立しているところが、MESSENGERSのダンステクニックの高さ所以か。しかしジャッジの結果、42.6対57.4でI'moonに屈した。
 
 
 初のCSでセミファイナル進出を果たしたI'moonは、リーグ連覇を目指す王者Legitと対戦。作品テーマは「三日月」、ワック作品で王者に挑んだ。扇子を小道具に用いた和のテイスト。ゆるやかな笛の音に合わせてパフォーマンスがスタート。いきなりMEMEがブチかます。YUNAに抱えられた高い位置から見下ろす、ステージを斜めに移動すると、MIUに帯を掴まれ、くるくる回る。そしてエースパフォーマンス。三味線の音に合わせ、しなやかにそして力強く腕を振った。照明を使い分け、個を際立たせつつも、扇子を持ったパートでは滑らかに繋いでいった。シンクロパフォーマンスも扇子を持った状態で舞った。小道具でアクセントを付けられる分、乱れも目立ちやすい。シンクロを武器とするチームだからこそ、勝つためにあえて挑戦を選んだようにも思えた。スピーディーな腕の振りを共鳴させた。MIUのワックソロでフィナーレへ。会場もひと際沸いた。
 
 対するLegitはメンバー全員が金髪で揃えた。連覇という黄金へ向かうチームの意思統一か。パープルのきらびやかな衣装を纏い、「衝動」をテーマにロッキン作品で戦った。ドラムの音に合わせ、ヒットでリズムを取るシーンは秀逸だった。エースパフォーマンスのChris Ackeyは「衝動」というテーマにふさわしく、身体を弾けさせ、内から外へエナジーを放出した。最後は力尽きるように倒れ込んでショーを終えた。しかし結果は49.25対50.75で敗れた。今季を含めレギュラーシーズンの直接対決では全勝だったI'moonに初黒星を喫し、2年連続完全制覇(レギュラーシーズン&CS)は潰えた。
 
 この試合の前に行なわれたセミファイナルのもう1つの山は、RAISERZが8ROCKSに勝った。かつてCSで熱戦を繰り広げてきた両チーム。試合前時点での対戦成績はRAISERZが1勝2敗と負け越していた。
 
 先攻は8ROCKSは「GLITCHED HYPE」。冒頭の10秒間はステージ上に誰もいない演出。音楽が転調すると一気に8人が飛び出してきた。フロアーで魅せるシンクロパフォーマンスから、YOUTEEとREIMIによる華麗な足捌きによるトップロック。さらにYU-KIによる音ハメのスピンで場内を沸かせた。照明を生かした4方向からのアクロバットで、中央に視線を集めると、待ち構えていたYOUTEEによるエースパフォーマンスだ。今年のマイナビDANCEALIVE 2026 FINAL HOUSE SIDEを制覇した実力はダテじゃない。硬軟使い分けるムーブでボルテージを上げていく。四つ打ちの音楽に合わせて、8人が入り乱れる。最後は組み合ってのポージングでフィニッシュした。
 
 後攻のRAISERZは「Hungry Spirit」と飢えを表現した。テーマから泥臭いショーケースを想起させたが、一転してムーディーで瀟洒な作品に。赤のセットアップを着たKTRが酒瓶をラッパ飲みをする。音楽はヒューマンビートボックスで世界的評価を受けるKAJI。KTRが瓶をテーブルクロスのかかった長机の上に叩き付けると、音に合わせて5人のメンバーがハンドダンス。からのクランプで、YOUTAによるシカゴフットワークで足技でも魅せる。エースはKTR。白のスーツに着替え、豪快さと繊細さを兼ね備えたクランプでショーを締め括る。ジャッジは会場、配信ともにオーディエンス票はRAISERZが優勢。テクニックは五分だったが、その他項目もRAISERZを支持し、62.95対37.05で決着となった。好敵手に快勝もRAISERZの面々に笑顔はなかった。ステージ上のマイクでKTRは「僕たちが見たい景色はこの先にあります。次、勝って、笑って拳を挙げましょう」と話した。
 
 
 ファイナルは昨季最下位のRAISERZと、過去2シーズン最下位を経験したI'moonという、どん底を知るチーム同士の対戦となった。先攻のI'moonは満月(FULL MOON)、三日月と来て、最後は「スーパームーン」を持ってきた。ファンク要素強めの作品だ。ディレクターのMIZUEは以前、「私は彼女たちが泣いている姿しか見たことがなかった。だから、絶対にこの子たちを笑わせよう、CSのステージで笑わせたいと思っている」と語っていた。もちろん、結果をもってしてという意味を含んでいたと思うが、この日のI'moonは、CSのステージを存分に楽しんでいるように映った。エースはRiho。彼女が得意とするロッキンというジャンルの性質もあるかもしれないが、ダンスを楽しむことを体現しているDリーガーのひとりだ。煌びやかな緑の衣装で、チーム全員笑顔が弾けていた。
 
 RAISERZは「GOLD」と頂点を黄金に見立てて、突き上げた手で掴み取りにいく。セミファイナルを変化球とするならば、ド直球のクランプと言っていいだろう。シードを勝ち取っていたRAISERZは、どこと対戦するかわからないため、相手に合わせた作品づくりはできない。「どこが来ても勝てる作品にしたつもりです」とKTR。騎兵隊を思わせるデザインの白と黒の衣装は闘いを象徴するものとしての選択か。力強いクランプで腕を振り続けた。シンクロは時に無音で声と動きの音を響かせた。終盤、客席に背を向け、後方に下がるKTRと入れ替わるようにして、InfinityTwiggzのエースパフォーマンス。猛々しさの中に、どこか儚さも感じさせるダンスで観客を魅了する。最後はRAISERZの“普段着”白タンクトップとなり、最後はそのタンクトップを破り捨て、上半身裸の8人が拳を突き上げてフィニッシュした。
 
 判定の結果は稀に見る僅差となった。オーディエンス項目は28.1対21.9でRAISERZ(配信13.1対11.9、会場15.0対10.0)で、テクニック項目は6.25ずつで五分。RAISERZはコレオグラフィー項目で6.9対5.6と差をさらに広げたが、シンクロパフォーマンス項目で圧倒(0.7対11.8)され、最終項目のエースパフォーマンスを前に41.95対45.55とリードを許した。それでもエースパフォーマンス項目で5.5%(9.0対3.5)を稼ぎ、ひっくり返した。その差はわずか1.90%--。 RAISERZは袖から飛び出してきたスタメン外のメンバーらと抱き合って男泣き。そして最後は笑顔で拳を突き上げた。
 
 リーダーのInfinityTwiggzは勝利後インタビューで、こう語りかけた。
「昨シーズン14位中14位という結果を受けて、本当に何も上手くいかなくて、何も伝わらないってなりながらも、オレらは誰もあきらめなくて、本当に皆さんにこの結果を受けて伝えたいのは『あなたがそのものに全力で、そのことにむかって愛があるなら絶対にあきらめないで下さい。そしたら絶対結果がついてきます』ということ。それを僕らが証明しました」
 
 成し遂げられたのは仲間の存在が大きかったという。
「社会人からDリーガーになって、この瞬間に本当に思ったのは、俺はRAISERZで良かったなと本当に思います。この仲間じゃないとやだなって思います。新たなクランプのかたちを皆さんに届け続けられ、何より、支え続けてくれたRAIZのみんなありがとう」
 
 
 そして見据えるのは未来だ。
「そしていつもディレクターのKTRが言うんですけど、ここがゴールじゃない。ボクらはDリーガーとして、最初のシーズンから俺らがDリーグを広めるとずっと言い続けています。それがパフォーマンス以外の部分で、Dリーガーという生き方を全体の模範となるようにこれからもRAISERZはやっていきたいと思います。プロダンサーとしてこれからも皆さん引き続き応援よろしくお願いします。拳上げ突き上げろ、レイザーズ! ありがとうございました!」
 
(文・写真/杉浦泰介)
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