新年明けましておめでとうございます。11月から12月にかけて行われた合同トライアウトを経て徳島では4選手を獲得しました。今回は即戦力はもちろん、チームの将来を考えた補強になっています。このオフ、チームでは多くの主力選手が残留しました。それは裏を返せば、今季が各選手にとって勝負をかける1年になることを意味します。
 独立リーグは最終目的地ではありませんから、選手の入れ替わりが多いのはやむを得ないことでしょう。しかし、チームは今年も来年も、その先もずっと続いていきます。数年後にチームの中心となり、NPBを目指す可能性のある選手を探すことは非常に大切です。

 今回、入団が決まった4選手のうち、投手の福岡一成(鳥取・日野高−島根大)、宍戸勇希(遊学館高)、外野手の高橋祥(専大北上高−オール江刺)は将来性に期待して獲得しています。福岡はボールのスピードはもちろん、トライアウトの態度が非常に印象に残りました。どの選手も合格したいと意気込んで参加する中、とりわけ負けん気の強さが光ったのです。「これは伸びるかもしれない」。直感的にそう感じました。もちろんNPBレベルに達するにはまだまだ勉強すべきところがたくさんあるでしょう。ただ、この気持ちを持ち続ければ化ける可能性があるとみています。

 サウスポーの宍戸は、何と言っても左投げというところが大きな武器です。NPBでも左はワンポイントでも活躍の場があります。フォームはまとまっていますから、1年間投げきる体力をつけ、経験をつめば、スカウトから注目される存在になるでしょう。

 野手の高橋は長内孝コーチからの推薦です。まだ19歳ですが、体つきがあり、パワーがある。そして右打ちというところも獲得の決め手となりました。先述したようにサウスポーがNPBでも求められている人材であるのと同様に、右バッターの長距離砲も近年は需要が高まっています。チームの中でも外野は手薄になっていますから、他の選手との競争次第では1年目から起用は増えるかもしれません。

 昨年、徳島からは残念ながらドラフト会議での指名がゼロ。松嶋亮太東弘明らNPB行きが期待された選手もいますが、朗報は届きませんでした。松嶋も東も練習態度はまじめで、ほぼ休まずトレーニングをしています。それでも一生懸命やっただけでは通用しないのがプロの世界。他の選手との競争を勝ち抜き、トップレベルで活躍するには、プラスアルファの何かが必要なのです。当然、これは2人に限った話ではありません。それぞれの選手が今季に向けてどんな決意を持って臨むのか。その変化を2月の合同練習から感じられることを楽しみにしています。

 チームとしてはやはりV奪回と独立リーグ日本一が大きな目標です。一昨年、優勝したチームが昨季はチャンピオンシップにも進めなかったのは、監督の決断力のなさが原因だったと感じています。勝負事は指揮官が迷っていてはいい結果は出ません。今季は、この反省を胸に昨季以上に勝利にこだわったチームづくりや選手起用をしていきたいと考えています。

 そのために大切なのはチーム内の競争です。先程、松嶋と東の名前を挙げましたが、彼ら2人もまだ今季のレギュラーと決まったわけではありません。今回、内野手の即戦力として井生広大(福岡・小倉高−明治学院大)が入団します。首都大学リーグ2部で首位打者に輝いたこともあり、内野はどこでも守れる選手です。

 井生や他の選手の出来次第では松嶋や東がベンチに回ることもあり得るかもしれません。こういった激しい争いの中で各選手が成長し、その集合体としてチームの力がアップすれば、と願っています。そして上を目指そうとする選手たちを僕たちコーチ陣がしっかりサポートしていくつもりです。

 今季から引退した根鈴雄次がアシスタントコーチとしてスタッフに加わることになりました。良き兄貴分としてはもちろん、指導の人数が増えることでチームにとってはプラスになると感じています。2013年がいいシーズンになるよう精一杯頑張ります。今年も1年間、よろしくお願いします。


島田直也(しまだ・なおや)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
1970年3月17日、千葉県出身。常総学院時代には甲子園に春夏連続出場を果たし、夏は準優勝に輝いた。1988年、ドラフト外で日本ハムに入団。92年に大洋に移籍し、プロ初勝利を挙げる。94年には50試合に登板してチーム最多の9勝をあげると、翌年には初の2ケタ勝利をマーク。97年には最優秀中継ぎ投手を受賞し、98年は横浜の38年ぶりの日本一に貢献した。01年にはヤクルトに移籍し、2度目の日本一を経験。03年に近鉄に移籍し、その年限りで現役を引退した。日本ハムの打撃投手を経て、07年よりBCリーグ・信濃の投手コーチに。11年から徳島の投手コーチを経て、12年より監督に就任。
◎バックナンバーはこちらから