ミドル級エースの桜庭が、DREAM初戦を一本勝ちで飾った。
 4月29日、さいたまスーパーアリーナで「DREAM.2 ミドル級グランプリ2008開幕戦」が開催され、メーンで登場した桜庭和志(LAUGHTER7)は総合格闘技デビューとなった極真中量級世界王者のアンドリュース・ナカハラ(極真会館)に1R8分29秒、フェイスロックで一本勝ちをおさめた。
(写真:トーナメント参戦は否定するも1回戦で一本勝ちをおさめた桜庭)
 桜庭がは序盤には金的攻撃を受けるアクシデントに見舞われ、幾度となくタックルを切られるなど苦戦する場面もあったが、1R中盤にテークダウンに成功、最後はフェースロックで相手のタップを奪った。
「ナカハラ選手はバランスが良かった。まだ若いし、これから練習を積んでいけばもっとい選手になると思う。(久しぶりのさいたまスーパーアリーナでの試合に)この空間はお客さんとの一体感が感じられる。僕らも気持ちよかった」
 試合後、こう語った桜庭は、この勝利でミドル級GPでベスト8進出を決めたが、「2回戦に進出した方はおめでとうございます。僕は関係ないので、みなさん頑張ってください」と相変わらず、トーナメント不参加の立場を主張。「リング上で言ったとおり『みなさんがんばってください』と。僕ははじめからトーナメントに関係ない。トーナメントは無理なので」と語った。
 笹原プロデューサーは「1マッチをつなげていけばトーナメントになる」と説明。次戦以降、どのような展開となるのか注目される。

(写真:カルバンに勝利しライト級GP2回戦進出を決めた青木)
 3月の「DREAM.1」でノーコンテストとなっていた青木真也(パラエストラ東京)とJ.Z.カルバン(アメリカン・トップチーム)のライト級グランプリ1回戦は、終始試合をコントロールした青木が判定3−0で勝利した。
 試合後、青木は「納得いかないことがいっぱいあったが、今こうして笑顔でいられるのはスタッフ、仲間のおかげ。幸せです。楽しかった。最高です」と充実の表情で語った。
 この日のゲームプランについては「『組技徹底』。僕のガードワークは世界一。絶対勝てる、と。世界一のガードワークに入れてやりました」と語り、HERO’S王者に勝利したことについて感想を求められると「この仕事でメシくうようになってもうすぐ2年。やっと一人前になったかな、と。やっと恩が返せたかな、と。昨年のこの時期に会社がなくなって、苦しいことも納得いかないこともいっぱいあったけど、この試合に勝てたことで、チャラになったかな。これからどんなことがたっても逃げずにやっていこうと思った。本当に良かった。幸せです!」。

 一方、カルバンは「良い試合だった。自分はいつも試合をするときには、失うものはない、全力を出し切ろう、と思っている。そういう意味では良かった」とコメント。青木のグラウンドにつきあう場面もあったが、「できることをその場に応じて、何でもやっていこうと思っていた」と振り返り、敗因について訊かれると「勝ったような気持ちでいる。今回は、青木の方がゲームコントロールに勝っていた。試合自体も面白くなかった」と語った。
 青木の寝技については「自分が柔軟性があるので、別に極められそうだとは思わなかった」としながらも「彼のグラップラーとしての能力は、世界に通じるものだと思う」と称えた。

(写真:“UWF”対決を制した田村)
“元UWF”対決の田村潔司(U−FILE CAMP.com)と船木誠勝(ARMS)は打撃戦となり、田村がわずか1R0分57秒TKO勝ちをおさめた。
 試合後のインタビューで田村は「試合へ向けては平常心で『試合をやるのかな』という不思議な感じだった。が、昨日から今日にかけてはナーバスになっていた。試合は白黒はっきりと決着がついたのでナーバスになった分すっきりしている」と淡々と語った。
「ファーストコンタクトは自分が仕掛けて、あとは船木さんも来た。自分がローキックを出して……。最後は本能的に体が動いた。パンチが効いているような感触があった」と振り返り、「煽りVTRを見て昔の思い出がよみがえった。完全に良い形で決着がついたが、船木さんが相手だから、力が抜けてていく感触もあったし、すごく複雑な感じだった。船木さんと自分にしかできな戦いだったと思う。2人が背負ってきたもものある。20年分、積み重ねてきたものを、1分足らずでぶつけあった感じですね」と語った。

 大みそかの復帰戦に続き、黒星を喫した船木は「首相撲のかたちから一発良いパンチが入った後は記憶がない。気が付いて天井の照明が目に入った」と振り返り、「この結果は悔しい。手ごたえはあった。もっと強くなりたいと思った。(大みそかよりは)ちょっと前進できた。チャンスがあれば次はもう1ランク上の試合をしたい。パンチもよく出せていたと思う」と自身での手ごたえも口にした。
 田村の足を見て、UWFの練習生だった頃を思い出したという船木は「すごく複雑。過去があるから今があるのは否定できないし、まだそれに関する答えは出せない。UWFにこだわって生きている田村という人間もいる。自分にはできないことなので、すごいなと思う」。
 復帰後、2連敗と厳しい状況だが「まだ復帰して2試合。セコンドも、勝つまでやりましょうと言ってくれた。勝つまでやりたいですね。首から下は元気なので、明日からでもトレーニングしたい」と次戦への意欲を見せた。
(写真:復帰後、2連敗となったが次戦へ意欲を見せる船木)

 このほか、金泰泳(正道会館)×ミノワマン(フリー)、ユン・ドンシク(チーム ユン)×大山峻護(フリー)は、金、ユンがそれぞれ判定3−0で勝利し、ミノワマン、大山は敗れた。
 優勝候補にもあげられていたデニス・カーン(アメリカン・トップチーム)は、ゲガール・ムサシ(team Mousasi/Red Devil International)に1R3分10秒三角絞めで敗れた。ゼルグ“弁慶”ガレシック(チーム・トロージャン)、ホナウド・ジャカレイ(ブラザ柔術)も一本勝ちで勝利をあげた。

 これで、トーナメント参加を否定している桜庭を含め、ミドル級GPでは7選手が2回戦進出を決めた。5月11日の「DREAM.3」で最後の1試合が行われ、そこでの勝者が2回戦での残り1枠に入るという。笹原プロデューサーは、「DREAM.3」での秋山成勲(フリー)の参戦を否定。残り1カード、さらには2回戦以降、どのような顔ぶれとなるのか注目だ。


DREAM.2 ミドル級グランプリ2008開幕戦

<第1試合> ※ライト級GP1回戦
○青木真也(日本/パラエストラ東京)
2R判定 3−0
×J.Z.カルバン(ブラジル/アメリカン・トップチーム)

<第2試合> ※ミドル級GP1回戦
○金泰泳(日本/正道会館)
2R判定 3−0
×ミノワマン(日本/フリー)

<第3試合> ※ミドル級GP1回戦
○ユン・ドンシク(韓国/チーム ユン)
2R判定 3−0
×大山峻護(日本/フリー)

<第4試合> ※ミドル級GP1回戦
○ゼルグ“弁慶”ガレシック(クロアチア/チーム・トロージャン)
1R 1分14秒 腕ひしぎ逆十字固め
×マゴメド・スルタンアクメドフ(ロシア/CLUB VOLK HAN)

<第5試合> ※ミドル級GP1回戦
○ホナウド・ジャカレイ(ブラジル/ブラザ柔術)
1R 3分37秒裸絞め
×イアン・マーフィー(米国/フリー)

<第6試合> ※ミドル級GP1回戦
○田村潔司(日本/U−FILE CAMP.com)
1R 0分57秒TKO
×船木誠勝(日本/ARMS)

<第7試合> ※ミドル級GP1回戦
○ゲガール・ムサシ(オランダ/team Mousasi/Red Devil International)
1R 3分10秒三角絞め
×デニス・カーン(カナダ/アメリカン・トップチーム)

<第8試合> ※ミドル級GP1回戦
○桜庭和志(日本/LAUGHTER7)
1R 8分29秒フェースロック
×アンドリュース・ナカハラ(ブラジル/極真会館)