REALIVEにおける“難しい構成”の意味 ~「Yuzuru Hanyu “REALIVE” an ICE STORY project」佐賀公演~
画像提供/REALIVE広報事務局
プロフィギュアスケーター・羽生結弦が製作総指揮を執り、単独で出演する「Yuzuru Hanyu “REALIVE” an ICE STORY project」佐賀公演の開催が、公式ホームページとSNSアカウントを通じて発表された。11月28日、29日にSAGAアリーナ(佐賀市内)で行なわれる。チケット抽選販売(公式ホームページ先行抽選)の受け付け期間は、9月19日14時から28日23時59分まで。
今年4月に宮城県内で行なわれた「“REALIVE” an ICE STORY project」は2部構成(第1部:REALIVE、第2部:PREQUEL)だった。第1部のコンセプトは、彼がこれまでのアイスショーとアイスストーリーで披露してきた“プログラムたち”をいまの身体でもう一度“生きた存在”として立ち上げる、というものだった。
参考までに、第1部のセットリストは下記の通り。( )カッコ内は当時披露したアイスショーもしくはアイスストーリーのタイトル名。
【第1部】
MEGALOVANIA(RE_PRAY)
Mass Destruction -Reload-(Echoes of Life)
Otoñal(GIFT)
鶏と蛇と豚(RE_PRAY)
あの夏へ(GIFT)
Utai IV~Reawakening~(Echoes of Life)
SEIMEI(プロローグ)
羽生は宮城初日公演後、こう語った。
「Echoes of Lifeからマスディス(Mass Destruction)、UTAIの2曲。RE_PRAYからはメガロ(MEGALOVANIA)、鶏蛇(鶏と蛇と豚)の2曲。GIFTからはあの夏へとOtoñal。Otoñalは滑っていないんですけど、曲を使ったっていうこともあり、サプライズを込めて。あとはある意味、原点であるプロローグからSEIMEI。こういう構成にしました」
プロローグは、「羽生のスケート人生を観客に感じてもらえるように」というコンセプトをもと企画された。GIFTのコンセプトは、「羽生の半生とこれからを氷上で表現する」ことだった。
RE_PRAYは、羽生がテレビゲームなどから着想を得て書いた脚本がもととなった。そのため、羽生は自身にテレビゲームに出てくるキャラクターを投影させ、氷上を舞ったのだ。Echoes of Lifeは羽生が書き下ろしたSF調の物語を氷上で表現した。従って、彼は自分が書いたストーリーに出てくる主人公・Novaとして、プログラムを演じた。
プロローグとGIFTは、羽生が羽生としてリンクに立ち、羽生を表現していた。一方、RE_PRAYとEchoes of Lifeでは、羽生が別のキャラクターを演じ、思想や哲学を表現した。
REALIVEでは、違った性質のショーもしくはアイスストーリーから生まれたプログラムが一緒くたのセットリストになる。これは、“難しい構成”だといえよう。
一般的にフィギュアスケートにおける難しい構成とは、高難度の4回転ジャンプや複雑なコンビネーション、スタミナが消耗している演技後半に難易度の高いジャンプを設けることをさす。
ここでいう“難しい構成”とは、一般的な意味だけではない。気持ちの入れ方や切りかえ方、マインドセットの面で難しいと察した。テレビゲームのキャラクターやNovaが披露したものを、REALIVEでは羽生結弦として演じたのか。それとも、プログラム間の短時間で「羽生結弦」「ゲーム内のキャラクター」「Nova」と気持ちを切りかえて臨んでいたのか。
もちろん羽生のプログラムは、フィギュアスケートの一般的な意味でも難しい構成であることは、彼の名誉のために付け加えておこう。
「ほとんど強い曲ばっかりなので、非常に大変だった」と羽生。セットリストが宮城公演と同じであろうとも、変更されようとも、またしても”難しい構成”に立ち向かう羽生に、敬意を表する。
(文/大木雄貴)
羽生結弦にとっての”クリスタルのあの子”とは ~「PREQUEL:Before the WHITE」→「ICE STORY 4thWHITE…」~
