第4回 「大学の歴史に新たな1ページを」~添田正美陸上競技部監督&佐藤信春スカウト部長兼強化コーチインタビュー(後編)~
二宮清純: 箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟が主催しています。その関東学連は昨年12月、2028年1月に開催する第104回大会から、それまで5年に1回だった記念大会を、オリンピックと同様、4年に1回実施することを決めました。記念大会では、全国の大学が予選会から参加可能となります。

出場校数も拡大されます。2015年以降、計21チーム(20校+関東学生連合チーム)が基本でしたが、28年の第104回大会は計26チーム(25校+日本学生選抜チーム)が出場します。関東学連の加盟校のみの参加となる29年の第105回大会から3つ増えて24チーム(23校+関東学生連合チーム)体制となります。
いずれにしても門戸が大きく広がったわけで、これから箱根を目指すチームにとっては朗報です。大正大学にとっても、これはグッドニュースですね。
添田正美: 確かに、その通りです。前回もお話ししましたが、14分台(5000メートル)の選手が10人近く内定しています。僕が国士舘大学で指導していた経験上、このまま順調に育成や勧誘がうまくいけば、初出場までに、それほど時間はかからないんじゃないか、と思っています。
二宮: かなり強気ですね?
添田: いえいえ。というのも国士舘では、監督として16年度から21年度にかけて6年連続で箱根に出場しましたが、年によっては15分台の選手が頑張ってエースになったケースもありました。出場校数の緩和は、初出場を目指すウチにとっては追い風だと考えています。

二宮: 箱根を目指す上でのカギは?
添田: 夏合宿でしょうね。10月に行なわれる予選会を突破するにあたっては、そこでの取り組みが大きなカギを握っています。もちろん走り込みは大事ですが、やり過ぎもよくない。そこでやり過ぎると疲労が残ってしまうんです。選手たちにどの程度の負荷をかければいいのか。そのことは国士館の監督時代に学ばせてもらいました。
二宮: 来年4月に入学予定の高校生たちには、今の時点でどのような練習を指示していますか。
添田: 基本的にはジョグが大切だと。そのことは勧誘の時から言っています。今の駅伝はスピード化が顕著ですが、一足飛びに速くなれるわけではない。基本をきっちり身につけることが重要だと、入学予定の高校生たちには伝えています。
二宮: ユニホームの色とかは決まりましたか?
佐藤信春: ユニバーシティカラー(スクールカラー)は「古代紫」と「蓮桃色」です。
二宮: どのような色でしょう?
佐藤: これは赤みがかった紫色で、建学の理念である「智慧と慈悲の実践」を表しています。仏教においては高貴な色として尊ばれている、と聞きました。
二宮: もうひとつの「蓮桃色」は?
佐藤: これは蓮の花のピンクを表しています。「泥中の蓮」ということわざがあるように、どのような時代でも清く正しくあるべき、という大正大学の理念を表現しています。

二宮: この2色をどうデザインするかが興味深い。
佐藤: そうなんです。ただし紫が強く出過ぎると駒澤大、立教大、明治大と重なってしまう。一方、桃色が目立つと日本大っぽくなってしまう。そこが難しいんです。しばらくしたらお見せできますので、もう少しだけお待ちください(笑)。
二宮: 襷は、どうでしょう。
佐藤: これは学校の方にお任せしていますが、紫と桃色のツートンカラーになるようです。
二宮: 最後に箱根駅伝出場に向けた抱負を。
添田: 大正大学は100年の歴史のある大学です。古い歴史を大事にしながら、駅伝で新しい1ページを書き加えることができれば、と考えています。私は職員として大学に入ったのですが、いま、学内の期待の大きさをひしひしと感じています。

佐藤: 学生たちは全員、地域創生学部に入ることが決まっています。陸上競技を続けながら、スポーツを通じての地域貢献や、地域における共生社会の実現についても学んでもらいたい。そして、大正大学で4年間陸上をやってきてよかった、と思えるような大学生活を送ってもらいたい。そのためのサポートは惜しまないつもりです。
(この項おわり)

<添田正美(そえた・まさみ)プロフィール>
1977年3月29日、福島県出身。
出身校:国士舘大学
◆経歴
2010年 8月~2015年3月:東京経済大学 陸上競技部 長距離コーチ
2015年 4月~2015年10月:国士舘大学 陸上競技部 駅伝コーチ
2015年 11月~2022年3月:国士舘大学 陸上競技部 駅伝監督
2022 年 4月~2026年3月:国士舘大学 陸上競技部 駅伝コーチ
2026年 4月~:大正大学 陸上競技部 監督
◆主な実績
・箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)8大会連続出場(第93回~第100回)
・全日本大学駅伝対校選手権大会 出場(第48回・第55回)
・第92回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)関東学生連合チーム 監督

<佐藤信春(さとう・のぶはる)>
1961年1月11日、福島県出身。
◆経歴
2003年4月 富士通陸上競技部 監督
2005年3月 JALグランドサービス陸上競技部 監督
2010年12月 聖徳大学陸上競技部 監督
2018年4月 駒澤大学陸上部 コーチ兼スカウト就任(聖徳大学と兼任)
2026年4月:大正大学 陸上競技部 コーチ
◆主な実績
2018年に駒澤大学陸上部のコーチ兼スカウト就任後、駒澤大学陸上部(現:大八木弘明総監督)のもと、全国トップレベルの選手の発掘・育成などチームの競技力向上に大きく貢献し、「大学三大駅伝」において、以下の実績を支えた。
・箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)総合優勝2回
・出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝競走)優勝2回
・全日本大学駅伝対校選手権大会 優勝5回

<二宮清純(にのみや・せいじゅん)プロフィール>
1960年、愛媛県出身。明治大学大学院博士後期課程修了・博士(学術)。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支援機構理事。『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)『勝者の思考法』(PHP新書)『プロ野球“衝撃の昭和史”』(文春新書)『変われない組織は亡びる』(河野太郎議員との共著・祥伝社新書)『歩を「と金」に変える人材活用術』(羽生善治氏との共著・廣済堂出版)、『森保一の決める技法』(幻冬舎新書)など著者多数。