二宮: いよいよプロ野球のペナントレースがスタートしました。やはりOBとしては、一番気になるのは東京ヤクルトでしょうか?
青島: 特にひいき目で見ているということはないのですが、やはり本籍地みたいなものですからね。気にならないことはないですよ。

二宮: 今年はヤクルトを最下位に予想している評論家が少なくありません。昨季限りで引退した宮本慎也さんまでが、最下位にしています。
青島: 昨季も最下位でしたし、低迷する古巣を見るというのは、やはり寂しい……。予想を覆す結果を期待しています。

 球速、三振にこだわらない藤浪

二宮: 今年のキャンプやオープン戦を見て、一番印象に残った選手は?
青島: キャンプで阪神の藤浪晋太郎にインタビューをしたのですが、「本当に20歳なの?」と聞きたくなるくらいにしっかりしていましたね。一流選手の条件なんでしょうけど、あの歳で既に自分を客観視できているのは、すごいなと。

二宮: 高校時代からインタビューを聞いても、優等生という感じでしたよね。
青島: そうなんですよね。最近では、藤浪くんと同じ大阪桐蔭高校出身の選手の活躍が目立っています。西岡剛(阪神)、中田翔(北海道日本ハム)、中村剛也、浅村栄斗(ともに埼玉西武)、平田良介(中日)……。でも、彼らはどちらかというとやんちゃというイメージがある。藤浪くんは先輩たちとはまるで正反対の優等生タイプです。

二宮: 具体的にどんなところに賢さを感じましたか?
青島: 若いピッチャーは、どうしても球速を求めようとしますよね。でも、藤浪くんは「速い球を投げることにこだわる意味はない」と言うんです。「160キロの球を投げて1ストライクを取ったところで勝てるわけではない。問題は、どうやったらバッターを打ち取るかというところにある」と。彼は三振にもこだわっていない。三振を取るには最低でも3球は必要ですよね。それよりも1、2球で打ってもらってアウトを取った方が、ピッチャーとしては楽だ、と。

二宮: いやぁ、大人ですねぇ。とても高卒2年目の選手とは思えない。さすが甲子園で春夏連覇しただけのことはある。
青島: そうなんですよ。甲子園での連覇なんて、勢いや素質だけでなせるものではない。高い野球知能が備わっていた藤浪くんだからこそ、達成できたんだと思いますね。でも、最近は藤浪くんのように賢い選手が増えてきている。これは野球界にとどまらず、日本のスポーツ界全体に言えることかなと。確実にスポーツ的IQは高くなっていると思います。

二宮: ひと昔前は、スポーツ選手というと、“がむしゃらさ”とか“ワイルド”というイメージがありましたが、今は知的な選手が多い。
青島: 今は体力や技術だけではなく、知力がないと勝てないし、活躍できない。“職人”というよりも“科学者”みたいな感じですよね。この流れをつくったのが、僕はイチロー(ヤンキース)だったんじゃないかなと思うんです。彼の言動って、すごく論理的ですよね。どうすれば、自分の考えやイメージが正確に伝わるのか。どうすれば、長くプレーできるのか……。それを「理屈っぽい」と言う人もいるけれど、スポーツ選手の知的なイメージをつくりあげたひとりであることは間違いありません。

 今季は新時代の幕開け!?

二宮: さて、注目の選手といえば、2年目の大谷翔平(日本ハム)は外せません。今季は先発ローテーションの一角に入り、本格的に“二刀流”の道を進もうとしているわけですが、青島さんは彼をどう見ていますか?
青島: 時代が生み出したスーパースターだなと思いますね。ピッチャーとバッター、それぞれの練習の時間や量は他の選手より少ないのに、それでも一軍のマウンドに立てるだけのピッチングをするし、一軍のピッチャーのボールを打てるわけですからね。

二宮: 必死に練習したって、そんな簡単に160キロのボールは投げられない。打率3割にも届かない。ところが、大谷選手は一軍の先発ローテーションに入り、オープン戦では24打数8安打、打率3割3分3厘をマークしました。怪物ぶりがさらに増していますね。
青島: 栗山英樹監督が、ピッチャーとしてもバッターとしても、両方で使いたくなる気持ちはわかりますよね。

二宮: 将来的にはピッチャーとバッター、どちらの道を選択すべきでしょう?
青島: 以前、大谷くんに「君はとんでもなく貪欲なんだろうね」と言ったことがあるんです。そしたら「多分、そうだと思います。僕は手に入れられるものは全部手に入れたいタイプです」って認めていましたね。ただ、どちらかと言えば、彼はやっぱりピッチャーの方に面白さを感じているんじゃないかな。

二宮: 将来的には、ピッチャーの道を選ぶと?
青島: いや、でもね、もし、どちらかを選択しなければならないような岐路に立たされた場合、彼はバッターを選択するという気がしますね。もちろん、160キロの球を投げるのも天賦の才だけど、それ以上に彼のバッティングセンスは抜群ですよ。野球経験のある人が見たら、「なんでこんなにきれいに打てるの?」ってみとれてしまうほど。難しい球でも、彼が打つと簡単に打っているように見えるんですからね。やっぱり、彼は“怪物”ですよ。

二宮: 私が注目し始めたのは、大谷選手が高校2年の時からなんです。ヤクルトのスカウトの八重樫幸雄さんが「あんなすごいバッターは見たことがない。スカウト史上、最高のバッターだよ」と絶賛していました。私自身、高3のセンバツで、大阪桐蔭の藤浪から打ったホームランは未だに忘れられません。とはいえ、160キロ投げられるピッチャーもそうはいませんからね。どちらも本当に捨てがたい。ただ、このままだと、どっちつかずになってしまう恐れもある。それだけは避けたいところです。
青島: 僕はこれまでの既成概念を破る選手になるのかな、という期待を持っているんです。これまでは、例えば先発投手なら20勝、打者なら打率3割、30本塁打という、それぞれ選手を評価する数値があった。でも、大谷くんの場合は、例えば「10勝、20本塁打、打率3割」という野球界の“近代五種”みたいな新しいカテゴリーができるんじゃないかなと……。

二宮: なるほど、それは面白い。大谷選手なら、3年後、5年後に達成する可能性は十分にある。
青島: 今季が、その新カテゴリーが生まれる第一歩となるかもしれませんね。

 大型化する日本プロ野球

二宮: それにしても、日本人選手の体型も随分と変わりましたね。ひと昔前までのプロ野球界は身長180センチで“大型”と言っていたのに、今では190センチ台も少なくない。藤浪選手なんかは197センチと2メートル近くあるわけでしょう?
青島: 本当に驚いちゃいますよね。スポーツ選手にとって、手足が長いことはプラス材料に考えられがちですけど、その分、身体の重心とは距離ができるわけですから、バランスよく使いこなすのは容易ではないはずです。ところが、藤浪くんは高卒1年目で10勝してしまうんですからね。190センチ以上の身長に、抜群の運動センスまで兼ね備えている。身体的にもメジャーリーグの域に近づきつつありますよね。

二宮: 現役時代、182センチの青島さんや、同級生で同じサードだった181センチの原辰徳監督は“大型内野手”と言われていましたよね。
青島: いやいや、僕の場合は血液型(O型)で言われていただけですよ(笑)。

二宮: アハハハ。相変わらず、うまいなぁ(笑)。でも、数年後には190センチ台の内野手が出てくるかもしれませんね。
青島: その可能性は高いですよね。現に、栗山監督は「大谷はショートもできると思う」と言って、キャンプでショートの練習をさせたこともありましたからね。

二宮: 193センチの大谷選手がショートにいたら、バッターは怖いでしょう。
青島: “壁”のように映るでしょうね(笑)。

二宮: 普通なら、「あの長身で軽快に動けるのか」と心配になりますが、大谷選手の運動センスなら、練習さえすればモノにできるのでは?
青島: 僕は十分にいけると思いますよ。いや、ほんと、彼は“怪物”ですから(笑)。

 そばだからこそ出せるキレとうま味

二宮: さて、今日は長期貯蔵のそば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」を飲んでいただいていますが、Soba&Sodaはいかがですか?
青島: いやぁ、これはまさに新しい発見ですね。僕はお酒が大好きで、1日の締めには必ず一杯やるんです。もちろん、焼酎もよく飲みますし、そば焼酎も好きですが、ソーダ割りを飲んだのは初めてです。今までにないカップリングで、これは焼酎の新たな魅力を教えてもらったな、という感じです。

二宮: 特にこれからの暑い時期にはオススメです。
青島: あぁ、いいですね。夏に、まずは1杯目にソーダ割りなんて、渇いた喉にはたまりませんね。このキレのあるうま味というのは、おそらく他の焼酎では出せないのでは? 味に品があるそば焼酎だからこそ、ソーダで割ることで、そのキレがより際立ち、香りもたつ。そば焼酎の個性をいい具合に引き出す飲み方ですよね。

二宮: 結構、女性にも人気なんですよ。
青島: そうでしょうね。焼酎独特の“香り”が、ちょっと苦手な女性って、少なくないと思うんです。でも、このソーダ割りを飲んだら、焼酎のイメージが一変するでしょうね。このそばの香りとソーダが生み出す、さわやかなのどごしが気にいる女性は多いと思いますよ。

(後編につづく)

青島健太(あおしま・けんた)
1958年4月7日、新潟県生まれ。春日部高、慶応義塾大を経て、81年、東芝に入社。3年目の83年に都市対抗で優勝。1985年、ドラフト外でヤクルトに入団。同年5月11日の阪神戦でデビューし、プロ野球史上20人目となる初打席初本塁打を放つ。89年に現役を引退し、日本語教師として単身豪州へ。帰国後はスポーツライター、キャスターとして活躍。2005〜07年、セガサミー野球部の監督を務める。現在はライター、キャスター、解説者として幅広く活躍している。鹿屋体育大、流通経済大、日本医療科学大の客員教授。

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

長期に渡り、樫樽の中で貯蔵熟成した長期貯蔵の本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」。豊かな香りとまろやかなコクの深い味わいが特徴。また、ソーダで割ると樫樽貯蔵ならではの華やかなバニラのような香りとまろやかなコクが楽しめます。国際的な品評会「モンドセレクション」2013年最高金賞(GRAND GOLD QUALITY AWARD)受賞。

提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
がらく 恵比寿南店(野球居酒屋)
東京都渋谷区恵比寿南2−2−6 山本ビルB1F
TEL:050-5788-2205
営業時間:
月〜木 11:30〜14:30/17:30〜00:00(月〜木)
金 11:30〜14:30/17:30〜翌02:00、
土・祝日 17:30〜00:00
日曜不定休

☆プレゼント☆
 青島健太さんの直筆サイン色紙を長期貯蔵本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」(720ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「青島健太さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は5月8日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回の青島健太さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・斎藤寿子/写真・杉浦泰介)


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