ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が10日、本拠地でのボルチモア・オリオールズ戦に先発し、7回7安打3失点で勝敗はつかなかった。今季2度目の先発でヤンキースタジアムでのデビュー登板となった田中は、2回に先制3ランを浴びたものの、以降はランナーを出しながらも追加点を許さない。7回を投げてメジャーリーグ移籍後、初の2ケタ奪三振(10個)を記録し、3−3の同点の場面で降板した。試合は救援陣が最終回に勝ち越しを許し、4−5で敗れた。また、ヤンキースのイチローが9回に代走で登場し、日米通算3018試合出場となって、野村克也氏の持つ日本最多記録(3017試合)を上回った。
 デビュー戦白星から中4日、決して本来のピッチングではなかった。しかし、結果は同じく7回3失点。勝利にはつながらなかったが、降板時、本拠地のファンから大きな拍手で力投を称えられた。

 立ち上がりは変化球の制球に苦しんだ。初回は2番デルモン・ヤングにスプリットを打ち返されてレフトオーバーの二塁打。得点圏にランナーを背負う。ここは昨季、本塁打、打点の二冠に輝いたクリス・デービスをツーシームでファーストライナー、4番のアダム・ジョーンズをストレートで空振り三振に切って取り、ピンチを切り抜ける。

 だが、2回、2本のヒットを許し、2死一、三塁。迎えた9番のジョナサン・スクープにはスライダーが甘く入った。打球はレフトのポール際に飛び込む3ラン。デビュー登板同様、序盤に一発で先制を許す。

 続く3回もアウトはすべて三振で奪いながらも、2試合目で初の四球を与えるなどコントロールが定まらない。3イニング連続でピンチが続き、田中自身も納得のいかない表情を浮かべていた。

 ただ、デビュー戦でもみせた修正能力はさすがの一語だ。中盤以降はカギとなるスプリットが低めに決まるようになり、ストレートとのコンビネーションで打者を手玉にとっていく。4回は下位打線に対し、この試合初の三者凡退。3−3と試合が振り出しに戻った直後の5回には、1死一塁で、強打者のデービスをインコースのストレートで見逃し三振に仕留めた。

 4番のジョーンズにはピッチャー返しでセンター前に運ばれたものの、5番のマット・ウィータースを1−2と追い込み、スプリットでバットに空を切らせる。狙い通りのピッチングで得点を与えず、ペースが上がっていく。

 6回はわずか6球で相手の攻撃を3人で終わらせ、7回はホームランを浴びているスクープをスプリットで空振り三振。2死後、2安打を喫しているヤングも外へスプリットを決め、バットにかすらせなかった。ちょうど10個目の三振で、この回もたった10球。7回を101球と理想的な球数でまとめ、ブルペン陣にマウンドを託した。

 これで開幕から2試合連続のクオリティスタート(6回以上自責点3以内)。立ち上がりの不安定さを除けば、文句のつけようがない内容だ。次回は中5日でホームでのシカゴ・カブス戦(16日)に先発が見込まれている。