二宮: いよいよ、なでしこジャパンが連覇を目指すサッカー女子W杯カナダ大会が近づいてきました。最初にズバリお聞きします。日本が再び頂点に立つ確率はどのくらいでしょう?
川上: 現時点では50%でしょうね。続けて勝つのは簡単なことではありません。厳しい戦いになると思います。

 澤、復調の要因

二宮: 前回のドイツW杯も延長戦あり、PK戦ありと、どちらに転んでもおかしくない勝負を勝ち抜いての優勝でした。
川上: 4年前は、さまざまな要素がうまく味方してくれた栄冠でした。何より、東日本大震災直後で選手たちが被災者に何かを届けたいという思いで一丸となっていましたね。現地のファンも応援してくれて彼女たちの背中を押してくれた部分も大きかったと感じます。

二宮: 優勝して日本では一気になでしこフィーバーが巻き起こりました。チームとしては異例の国民栄誉賞も受賞したほどです。
川上: あの時は世の中の変化にビックリしました。私も現地にいたので、日本の様子が全くわからない。帰国して喫茶店に入ると、隣の席からなでしこジャパンの話題が普通に耳に入ってくるんです。たった1カ月で、こんなにも変わるものかと感じましたよ。あれから4年……時の流れは早いですね。

二宮: 4年の間に女子サッカーの潮流も変わってきているのでしょうか。
川上: 日本がチャンピオンになって、海外のチームも、なでしこジャパンのスタイルをマネするようになってきました。その上で、ロンドン五輪後は、各チームがストロングポイントを前面に押し出す戦い方に進化してきています。

二宮: つまり、それだけ世界の女子サッカーはレベルアップしていると?
川上: まだパスサッカーをマネているだけなら、日本の強みがあったんです。ところが、近年は、そうしたボールをつなぐ繊細さに加えて、もともとの持ち味だったパワーや高さをミックスさせてきているんです。

二宮: 世界のレベルが上がっているとなると、日本は前回以上のサッカーを展開することが連覇への最低条件になるでしょうね。今回の代表メンバーを見ると、慣れ親しんだ選手たちでチーム力を積み上げて大会に臨もうとの佐々木則夫監督の意図が感じられます。4年前の優勝経験者が23名のうち17名。このところ代表から外れていたMF澤穂希選手も選ばれています。川上さんは選出を予想していましたか。
川上: 順当な選考と言えるでしょうね。今季から澤を日テレ時代に指導してきた松田岳夫監督がINAC神戸を率いることになり、今年は彼女自身、練習から生き生きとしていました。松田監督は私もお世話になりましたが、練習メニューも工夫していて、選手へのアプローチもうまく、モチベーションを上げてくれる。「パフォーマンスは問題ない」と松田監督も太鼓判を押していましたから。

 焼酎はお湯割りとロック

二宮: 川上さんは澤選手ともお酒を飲む機会があるそうですね。
川上: 私も澤も今は神戸に住んでいますからね。シーズンオフには結構飲みます(笑)。大野忍もはじめはあまり飲めなかったのに、このところは自分からお酒を注文するようになりました(笑)。そういう成長を感じながら、お酒を飲むのは楽しいですね。

二宮: 話を聞いていると、川上さんも、かなりいけるクチとみました(笑)。
川上: 強い方だと思います(笑)。最近の若い選手は、あまり飲まなくなってきているので、それはちょっと寂しいですよ……。

二宮: そんなお酒好きな川上さんに「那由多(なゆた)の刻(とき)」をご用意しました。ソーダ割りのSoba&Sodaで乾杯しましょう!
川上: あっ、おいしいです。ソーダで割ると、ゴクゴクいけます(笑)。焼酎はよく飲みますが、普段はお湯割りとロックなので、ソーダ割りも新鮮です。

二宮: 焼酎は、お湯割りやロックというところが、さすがツウですね(笑)。
川上: 鹿児島に行った時には、焼酎を割るお湯がやかんで出てきたんです。アルコールが蒸発しちゃうんじゃないかと思いながら飲んだんですが、これがまた味がある。それから、お湯割りも好きになりました。

二宮: 今後は「那由多(なゆた)の刻(とき)」のSoba&Sodaもラインアップに、ぜひ加えてください。現役選手と飲み会をすると、やはり話題は自然とサッカーになるのでしょうか。
川上: そうですね。普段は遠慮があっても、お酒が入るとハッキリ言い合える。それはお酒のいいところだと思っています。酔っ払った状態なので、翌日になると、どんなことをしゃべったか、はっきりと覚えていない時もありますが……(笑)。

二宮: W杯に話を戻すと、今回のメンバーでキーマンをあげるとすれば誰でしょう。
川上: 私はFW大儀見優季をあげます。前回は全試合に出場したとはいえ、得点は1ゴールだけで実力を発揮したとは言えない大会でした。でも、そこから海外で実績を積み、ドイツでは得点王にもなりました。この経験はチームにとって大きいでしょう。彼女がたくさんチャンスをつくって、ゴールを決められれば日本のペースで試合を運べます。

二宮: 新しいメンバーで注目選手はいますか。
川上: DF川村優理は外国人相手でもファイトできるので楽しみですね。岩清水梓、熊谷紗希のセンターバックコンビのスペアとしてチャンスはあると思います。攻撃陣ではFW菅澤優衣香。彼女はロンドン五輪でも期待されながら、大会前に左ヒザの前十字靱帯を損傷して出られなかった。彼女は日本人の中では大型FWで、なでしこリーグではゴールを量産しています。体格で勝る海外のDFにも当たり負けしないところが強みです。

二宮: 日本は高さが弱点と言われています。その点で今回、初のW杯メンバーに選ばれたGK山根恵里奈選手は187センチの長身です。彼女はいかがでしょうか。
川上: 佐々木監督がかなり評価している選手ですね。空中戦では、あの身長は武器になる。ただ、キーパーは体の大きさだけでなく、判断力はや足回りの巧さも求められるポジションです。その点は、まだまだ改善が必要でしょうね。

 連覇へ初戦で手応えを

二宮: 今回、初めてW杯代表に選ばれたのは6名のみ。それだけ前回の優勝メンバーが優れているとの見方ができる半面、将来を見据えた際には世代交代がうまく進まなかったとの意見もあります。
川上: 両方の側面があるでしょうね。海外のチームでは10代の選手がどんどん出てきて中心になっていますから、突き抜けるような若手が出てこなかったことは事実です。一方で、選手は若ければいいと言うものでもありません。前回大会を戦った選手たちが4年間、努力を重ねたからこそ選ばれている部分は評価すべきでしょう。

二宮: W杯後、来年にはリオデジャネイロ五輪があります。どこで若手に切り替えていくかは悩みどころでしょうね。
川上: どこかのタイミングでは思い切って世代交代をしなくてはいけないでしょう。現在の主力は30歳前後で固まっていますから、4年後は彼女たちが一気にいなくなって、W杯経験のない選手が大半になる可能性があります。若手が出てきて今回のW杯を戦う海外との差は大きい。だからこそ、このW杯で、しっかりした成績を残さないと、次につながらなくなる。結果が出なければ注目度も下がります。若手の励みがなくなり、日本の女子サッカーが下降線をたどってしまうかもしれない。その意味でも、今回のW杯はなでしこの未来を占う大会になるととらえています。

二宮: 澤選手が選ばれたことで、中盤の組み合わせも澤選手と阪口夢穂選手のダブルボランチに、左サイドの宮間あや選手、右サイドの大野選手といった前回と同じスタイルになるのでしょうか。
川上: 澤の状態次第だと思います。パフォーマンスがいいと言っても、全盛期に比べれば運動量はどうしても落ちてきています。それでも調子が良ければボランチでやってくれるでしょうから、阪口がうまくカバーしてあげれば、宮間をサイドに置いて攻撃の起点ができる。澤は海外でも一目置かれた存在ですから、彼女が元気だと相手もイヤがるはずです。

二宮: 宮間選手は前回やロンドン五輪でも活躍しましたが、今回はキャプテンを務め、一番、脂の乗っている時期と言えるでしょうか。
川上: 彼女はテクニックで勝負する選手なので、ピークが長く続くタイプです。男子でいえば、MF遠藤保仁選手みたいな感じでしょうね。今回はチームをまとめる立場になるので、ヘンな重圧がパフォーマンスに影響を与えなければいいなと。その点だけが心配ですね。

二宮: 連覇へのライバルは前回、そして五輪の決勝を戦った米国、2度の優勝を誇るドイツ、開催国のカナダといったところでしょうか。
川上: そのあたりが最後の関門になるでしょうね。ただ、今回から出場チームが24に増え、どこも女子サッカーに力を入れるようになってきました。急速に伸びているチームもあるので他も侮れません。

二宮: 1次リーグの相手はスイス(6月9日)、カメルーン(13日)、エクアドル(17日)とすべて初出場のチームになりました。実力は日本が上でしょうが、経験のなさが、かえって不気味です。
川上: カメルーンとか、身体能力の高そうな選手が隠れていそうですよね。日本としては1次リーグで選手をうまくターンオーバーして疲労を溜めないように使いながら、1位通過するのが理想でしょう。そのためには初戦が重要です。ここで引き分けたりしてしまうと、波に乗って行けませんし、後のプランも狂ってしまう。とにかく、初戦をいいかたちで勝つ。チーム全体が手応えをつかんで大会をスタートすることが大切です。

(後編につづく)

川上直子(かわかみ・なおこ)
1977年11月16日、兵庫県生まれ。現役時代のポジションはDF、MF。小学校入学と同時にサッカーを始め、中学からTASAKIに所属。01年から女子日本代表に選出される。03年の米国W杯、04年アテネ五輪では右サイドバックとして活躍。代表戦は48試合に出場した。05年、日テレに移籍し、同年の完全優勝に貢献。スピードと豊富な運動量が持ち味で、Lリーグ(現なでしこリーグ)ベストイレブンに5度選ばれた。06年限りで現役を引退。現在はサッカー解説者として活動中。11年のドイツW杯では、なでしこジャパンが歴史的優勝を果たした決勝、12年のロンドン五輪では銀メダルを獲得した決勝をいずれも解説する。女子サッカーの普及のためにサッカー教室など指導も行っており、日本サッカー協会による、こころのプロジェクト・ユメセンを通じた子供たちの心の健全育成や講演活動も積極的に取り組んでいる。



 今回、川上直子さんが楽しんだお酒は、長期にわたり、熟成貯蔵された原酒だけを使用した深い味わいの本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」。際立つそばの華やかな香りが特徴。またソーダで割ると、熟成の時が刻んだ華やかなバニラのような香りとまろやかなコクが楽しめます。国際的な品評会「モンドセレクション」2015年最高金賞(GRAND GOLD QUALITY AWARD)受賞。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
赤坂 有薫
東京都千代田区永田町2−14−3 東急プラザ3階
TEL:03-3592-0393
営業時間:
ランチ  11:30〜14:00(月〜金、祝日除く)
ディナー 17:00〜22:00(月〜金)、16:00〜21:30(土、日、祝日)
>>店舗サイトはこちら

☆プレゼント☆
 川上直子さんの直筆サイン色紙を長期熟成貯蔵そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」(720ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「川上直子さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は6月11日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、川上直子さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真:石田洋之)


◎バックナンバーはこちらから