24日、「戦極〜第四陣〜」がさいたまスーパーアリーナでが開催され、メーンに登場した五味隆典(久我山ラスカルジム)はハン・スーファン(CMA KOREA)を判定(3−0)で下した。また、この日行われたライト級トーナメント一回戦は北岡悟(パンクラスism)や光岡映二(和術慧舟會RJW)らが勝利し、ベスト4を日本人選手が独占する結果となった。
(写真:試合内容に納得いかない様子の五味)
 メーンイベントでは五味が「若い頃の自分と似ている」と評した韓国人ファイターは期待を裏切らない戦いをみせた。金星は奪えなかったものの、同階級最強のストライカーと3Rを打ち合ったことはハンの自信になっただろう。
 しかし、勝って当然のプレッシャーのなか、きっちりと結果を残す五味もさすがである。2R序盤に自らが放ったローキックで右足を痛めたが、最後まで前に出る姿勢を崩さなかった。五味は打撃を得意とするハンに対して寝技にはいかず、スタンド勝負に徹した。相手の土俵で戦い、力でねじ伏せようとする王者のプライドが感じられた。
 五味は試合後、「今回勝ったライト級の4選手を相手にすると、もっとグラウンドと(打撃を)バランスよくトレーニングしないと一本とられるかもしれない」と反省した。しかし続けて、「ベルトはとります。大丈夫ですよ」とニヤリ。来年早々に組まれるであろうタイトルマッチを見据え、よりコンディションを高めることを誓った。

 ライト級トーナメントでは北岡がクレイ・フレンチ(H.I.T. Squad)をわずか31秒で葬り、自身の持つ“戦極最短KO記録”を更新してみせた。アメリカの総合格闘技団体KOTC王者をアキレス腱固めで秒殺し、宣言通りの一本勝ち。経験値の違いから、短時間決着でも複雑な心境だと反省した北岡は、「次は今回のようにはいかない」と気を引き締めた。次戦、約2年半ぶりに日本人選手から勝利することで、“日本人に弱い”という雑音をかき消したい。
(写真:秒殺一本にリングで喜びを表す北岡)

 同じくトーナメントに出場した光岡もブラジルアン柔術を駆使する強敵、ホドリゴ・ダム(アライアンスBJJ)から3分余りで一本を奪い、完封してみせた。立ち上がりから慧舟會仕込みのチョークが牙をむく。相手が絶対的な自信を持つグラウンドにもかかわらず、あっさり極めてしまう圧倒的な勝利だった。

 廣田瑞人(GUTSMAN修斗道場)−ライアン・シュルツ(チーム・クエスト)戦では、2R4分45秒、廣田のカウンターが炸裂した。シュルツとの打ち合いに押され気味だった廣田だが、飛び込みながらの右フックが相手の顔面をとらえ、一撃で試合をひっくり返した。試合後、リング上で大勢駆けつけたファンに向けて「必ず勝ちます」とライト級GP制覇を宣言した。

 横田一則(GRABAKA)はボーヤン・コセドナー(WFC)と対戦し、この日のライト級GPで唯一の判定決着(3−0)に終わり、快勝とはいかなかった。試合後、「ケガによる調整不足」を明かしたが、同じ失敗を繰り返せば次戦での勝利は難しい。

 ミドル級ワンマッチに登場したシドニー五輪金メダリスト(柔道81キロ級)滝本誠(吉田道場)はフランク・トリッグ(RAW Team)に判定負け(3−0)を喫した。トレーニングを積んできた打撃に成長はみられたが、3月の旗揚げ戦に続いての連敗。1年半以上のブランクがあるトリッグに対して、15分間を通して攻めきれない内容に、会場もため息に包まれた。瀧本は試合後、「限界かなという気もしています」と引退を示唆した。

 そのほかの試合結果は以下のとおり。

<第1試合>※ヘビー級
○ヴァレンタイン・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グリーリー)
1R2分42秒 KO
×高橋和夫(フリー)

<第2試合>※ヘビー級
○モイス・リスボン(フランス/ヨーロッパ・トップチーム)
2R42秒 チョークスリーパー
×ピーター・グラハム(オーストラリア/A・E FACTORY)

<第3試合>※ヘビー級
○ヤン・ドンイ(韓国/CMA KOREA)
2R2分15秒 試合放棄(レフェリーストップ)
パウエル・ナツラ(ポーランド/チームナツラ)

<第4試合>※ライト級グランプリ
○廣田瑞人(GUTSMAN修斗道場)
2R4分45秒 KO
×ライアン・シュルツ(アメリカ/チーム・クエスト)

<第5試合>※ライト級グランプリ
○横田一則(GRABAKA)
3R判定 3−0
×ボーヤン・コセドナー(スロベニア/WFC)

<第6試合>※ライト級グランプリ
○光岡映二(和術慧舟會RJW)
1R3分13秒 チョークスリーパー
×ホドリゴ・ダム(ブラジル/アライアンスBJJ)

<第7試合>※ライト級グランプリ
○北岡悟(パンクラスism)
1R31秒 アキレス腱固め
×クレイ・フレンチ(アメリカ/H.I.T. Squad)

<第8試合>※ミドル級
○フランク・トリッグ(アメリカ/RAW Team)
3R判定 3−0
×瀧本誠(吉田道場)

<第9試合>※ライト級
○五味隆典(久我山ラスカルジム)
3R判定 3−0
×ハン・スーファン(韓国/CMA KOREA)