女子レスリング世界選手権2008(10月11〜13日、代々木第一体育館)の最終日となる13日、55キロ級の吉田沙保里(綜合警備保障)が決勝でテチアナ・ラザレワ(ウクライナ)を下し、自身6度目の世界選手権制覇を成し遂げた。同じくこの日登場した72キロ級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は準決勝で敗れたが、3位決定戦でオチルバト・ブルマー(モンゴル)に勝利し、銅メダルに輝いた。この結果、初日、2日目に行なわれた48キロ級の坂本真喜子の銅、51キロ級の坂本日登美の金(ともに自衛隊体育学校)、59キロ級の正田絢子(網野クラブ)の金、63キロ級の西牧未央(中京女子大)の金、67キロ級の新海真美(アイシン・エィ・ダブリュ)の銀と合わせて金メダル4個、銀メダル1個、銅メダル2個と、日本勢は全7階級でメダルを獲得した。
(写真:圧倒的な強さをみせた吉田)
 北京で五輪連覇を達成した吉田の強さは別格だった。2回戦、3回戦、準決勝といずれも1分以内に仕留める秒殺で決勝にコマを進めた。決勝のラザレワ戦は慎重な立ち上がりをみせたが、バックポイントで確実に第1ピリオドをモノにする。続く第2ピリオド、吉田のタックルを受けたラザレワの負傷棄権で試合は終了した。
 吉田は試合後、「レスリング人生は短い。他の選手に追い越されないようにしっかり練習して、ロンドンでも金メダルを獲りたい」と今後の目標を語った。吉田の“五輪3連覇への道”は順調なスタートをきったと言えそうだ。

 一方、5年ぶりの王座奪還を狙う浜口は2回戦、3回戦を危なげなく突破した。しかし、準決勝で洪雁(中国)に0−2で敗れ、3位決定戦にまわることになる。迎えたブルマーとの3位決定戦も第1ピリオドを奪われる苦しい立ち上がりだった。だが、大“京子コール”に後押しされた浜口は、第2、3ピリオドを連取し逆転勝利。日本人では吉村祥子と並ぶ最多タイ記録となる世界選手権通算9個目のメダルを獲得した。
(写真:銅メダル獲得を喜ぶ浜口と父・アニマル浜口氏)

 試合後、浜口は10日前にヒジを痛め、今大会の出場が危ぶまれたことを明かした。しかし、“72キロ級でこれだけの実績を残した選手は他にいない”と自らに言い聞かせることでモチベーションを高めた。そして、「日本開催で銅メダルを獲れて最高にうれしい」と喜びを爆発させた浜口。今後については、「心身共にボロ雑巾のような状態なのでゆっくり休みたい」と語り、具体的な明言は避けた。