日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2008は28日、最終第5戦が行われ、BCリーグチャンピオンの富山サンダーバーズは四国・九州アイランドリーグチャンピオンの香川オリーブガイナーズに延長11回の末、2−3で敗れ、惜しくも日本一を逃した。富山は香川で連敗後、ホームで連勝。この試合も終盤まで2点リードしていたが、香川の粘りの前に力尽きた。
 小山内、リリーフ登板も実らず(香川3勝2敗、桃山野球場、2,118人)
香川オリーブガイナーズ   3 = 000000011 01
富山サンダーバーズ     2 = 000110000 00 (延長11回)
勝利投手 松尾(2勝1敗1S)
敗戦投手 小山内(1勝2敗)

 長い歴史が続くであろう日本の独立リーグ史に、間違いなく語り継がれる名勝負だった。泣いても笑っても最後の第5戦。香川、富山の両チームは一歩も譲らなかった。最後は香川に栄冠が輝いたが、切磋琢磨する両リーグの進化がはっきりみえたチャンピオンシップとなった。

 雨で1日順延した最終戦の先発は富山・木谷智朗、香川・金子圭太の先発で始まった。序盤は互いに走者を1人ずつ出したものの、静かな立ち上がり。独特の緊張感の中、試合は進んでいった。

 最初のターニングポイントとなったのは4回。香川は笠井要一のヒットと2盗を足がかりに1死3塁のチャンスをつくる。ここで4番・智勝の打球はライトへ。ライト藤岡直也の捕球をみて、笠井が3塁からスタートを切るが、藤岡の返球が早く、あえなくタッチアウト。香川は先制機を逃す。

 すると、その裏、富山は先頭の山内匠二が2塁打を放つ。優士がきっちり犠打を決め、1死3塁。ここで3番・町田一也はセカンドゴロに倒れたが、その間に富山が1点を先行した。

 さらに5回、香川が1死2塁の好機をつぶすと、富山は1死からヒットの廣田嘉明を送って2死2塁。確実に得点圏へ走者を進める。ここで前の打席に2塁打を打っている山内がタイムリー。富山がソツのない攻撃でリードを2点に広げた。

 その後は両軍ともに走者が塁上をにぎわすものの、両投手陣が要所を締める。2−0のままスコアは動かず、試合は終盤戦へ突入する。

 ゲームが動いたのは富山の日本一がみえかけてきた8回だった。木谷は死球を与えて先頭打者の出塁を許すと、西森将司のサードゴロがエラーとなり、走者が生還。富山にとっては痛いミスが出て香川が1点を返す。なおも2死3塁の場面で、富山は第3戦で完投勝ちした小山内大和がリリーフ登板。小山内は勝負強い堂上隼人を三振に仕留め、わずか1点のリードながら、試合は最終回を迎えた。

 しかし、ディフェンディングチャンピオンの香川も簡単には引き下がらない。9回、先頭の智勝がショートのエラーで出塁すると、1死後、国本和俊がつないで1、3塁。ここでDH・金井雄一郎の当たりはショートへの内野安打となり、3塁走者が同点のホームを踏む。ついに土壇場で試合は振り出し。両チームの激闘はついに延長戦へもつれ込んだ。

 そして11回、香川の攻撃。2死無走者から金井のヒットが出る。打席に入ったのは途中出場の若林春樹。一昨年はチームの中軸を任されながら、ここ2年、不本意なシーズンを送っている男がバットを振りぬいた。外野に飛んだ打球は値千金のタイムリー2塁打。昨年のグランドチャンピオンシップでも試合を決める一発を放った23歳が、香川に日本一を呼び込んだ。

 投げては米国帰りの松尾晃雅が7回から5戦連続のリリーフ登板。第4戦では守備の乱れもあって敗戦投手となったが、富山打線を力でねじ伏せる。チーム創設以来、常に香川を牽引してきた右腕が11回裏もマウンドに上がり、頂点の座を守り抜いた。