6日、亀田大毅(亀田)がノンタイトル10回戦(52,5キロ契約、後楽園ホール)に臨み、アンヘル・レサゴ(メキシコ)に5ラウンドKOで勝利した。約1年1カ月ぶりのリングを白星で飾った大毅は、「家族が巻いてくれたバンテージのおかげでKOできた。相手は強い選手でした」と謙虚な姿勢で試合を振り返った。
(写真:息子の勝利を称えた史郎氏と大殻)
 第1ラウンド、積極的に手を出すメキシコ人とは対照的に、大殻はガードを固めて静かな立ち上がりをみせた。「緊張した」の言葉通り、動きが硬く、相手のパンチに得意の左フックを合わせるも、その大半が単発だった。
 続く2ラウンドは左フックから右のコンビネーションが増えた。しかし、ジャブが少なく、相変わらず動きはぎこちない。セコンドについた兄・興殻の「スピード、リズム」というゲキに反応したのは3ラウンド。余裕が出たのか、軽快なフットワークを披露し、動きに躍動感が増した。時折、左のガードが下がったのは、大殻曰く、パンチが見えていたから(ガードする必要がない)。
 4ラウンド、大殻はさらにリズムに乗る。上下への打ち分けを駆使して、執拗にボディを攻めた。フットワークとボディブローで相手をコーナーに張り付けにする巧さもみせた。
 そして迎えた第5ラウンド。前回に痛めつけたボディに強烈な左をめり込ませると、メキシコ人はたまらず崩れ落ちた。かろうじて立ち上がったが、大毅の追撃は2度と立ち上がることを許さなかった。KOタイムは5ラウンド1分47秒。相手にクリーンヒットをほとんど許さない完勝だった。

「1年間試合ができなくてファンには申し訳ないことをした」。試合後のインタビューで大毅が強調したのはファンへの謝罪だった。そして、1年ぶりの試合を大声援で盛り上げた観客への感謝の言葉も繰り返した。
 今後については、「1戦1戦がんばっていきたい」と謙虚なコメント。来月8日に予定される次戦勝利を目標に挙げた。さらに、日本人との対戦について訊かれると、「やりたい選手はいっぱいいる。でも誰となんて言える立場じゃない」と最後までビックマウスは飛び出さなかった。
(写真:大殻の勝利を一番喜んだのは興殻だったかもしれない)

 観客席からの観戦となった父・史郎氏は引き締まった表情で試合を振り返った。「理想は自分で展開をつくって、ポイントを奪う。その流れのなかからKOを狙う。今日の大殻はそれなり」。さらに、前戦で失敗した世界挑戦については、「まだまだ(先)やろ」と一言。愛息子の成長に期待しつつ、すでにその視線は次戦以降を見据えていた。

 巧みなボディブローとステップワーク――。大殻は技術的な成長を感じさせた。さらに、ライセンス停止以前には想像がつかないような謙虚な姿勢もみられた。本人が語るように「1戦1戦」段階を踏めば、世界再挑戦もみえてくる。「浪速の弁慶」の真価が問われる再挑戦がはじまった。