ワールドシリーズは1日、第3戦が行われ、敵地に乗り込んだニューヨーク・ヤンキースがフィラデルフィア・フィリーズを8−5で下し、対戦成績を2勝1敗とリードした。ヤンキースは3点を先行されたが、主砲アレックス・ロドリゲスの2ランで反撃ののろしをあげると、5回、先発投手のアンディ・ペティットがタイムリーを放ち、同点に追いつく。さらに連打で逆転に成功。その後も着々と得点を重ね、8回は代打で登場した松井秀喜が2試合連続となるソロを放って試合を決めた。ナ・リーグの本拠地でDH制が採用されないため、先発を外れた松井だったが、一振りで結果を残し、勝利に貢献した。
 デイモン、逆転のタイムリー(ヤンキース2勝1敗、シチズンズバンク・パーク)
ニューヨーク・ヤンキース   8 = 000231110
フィラデルフィア・フィリーズ 5 = 030001001
勝利投手 ペティット(1勝0敗)
敗戦投手 ハメルズ(0勝1敗)
本塁打   (ヤ)ロドリゲス1号2ラン、スウィッシャー1号ソロ、松井2号ソロ
       (フ)ワース1号ソロ、2号ソロ、ルイス1号ソロ

【松井成績】
 1打数1安打1打点
第1打席 左本塁打 1打点

 カウント1−1から外のストレートを逆らわずに打ち返した。打球はレフトスタンドへ一直線で飛んでいく。8回裏、2死無走者、7−4とヤンキース3点リードでの代打。決してモチベーションが高まる展開ではない。だが、松井はしっかりと存在感を示した。

 1勝1敗で迎えた第3戦、ヤンキースはペティット、フィリーズは昨季のシリーズMVP左腕コール・ハメルズが先発マウンドに上がった。雨で1時間以上、試合開始が遅れ、影響が心配されたが、ハメルズは3回までヤンキース打線をノーヒットに抑える。一方、ペティットは2回、先頭のジェイソン・ワースにスライダーをレフトスタンドへ運ばれ、先制を許した。なおも、ヒットと四球で走者がたまり、9番ハメルズの送りバントに、捕手のホルヘ・ポサダとペティットがお見合いしてオールセーフ。満塁となって、1番ジミー・ロリンズには押し出しの四球を与えてしまう。さらにシェイン・ビクトリーノの犠飛も飛び出し、この回フィリーズは3点を先行した。

 しかし、打順がひとまわりした4回、ヤンキースは反撃に転じる。1死1塁からA・ロッドの流し打ちはライトのポール際へ。打球はフェンスの上部にはね返ってフィールド内に戻ってきたかに見えた。しかし、ジョー・ジラルディ監督の抗議でビデオ判定を行った結果、フェンス上のカメラに当たっていることが判明。2ランホームランとなり、2点を返した。

 主砲の一撃で流れを取り戻したヤンキースは続く5回、ニック・スウィッシャーが三塁線を破る2塁打で出塁すると、1死後、9番ペティットが初球を叩く。これがセンター前のヒットとなり、2塁走者が生還。レギュラーシーズンでは打席に立たないピッチャーの一打で同点でおいついた。なおもデレク・ジーターがヒットでつなぎ、ジョニー・デイモンの打球は右中間を破る。2者が生還し、5−3。ヤンキースは逆転に成功した。

 さらに6回、代わったフィリーズ2番手のJ.A.ハップからスウィッシャーがソロアーチ。フィリーズもワースのこの日2本目となるソロで反撃を試みるが、7回にはポサダのタイムリーでリードを広げた。1点を返されて再び3点差になった最終回には、1死からマリアーノ・リベラが登場。石橋を叩く投手リレーでヤンキースが勝利をつかんだ。

 フィリーズはハメルズが中盤につかまり、今シーズン不調の中、先発に起用したベンチの期待に応えられなかった。また4番のハワードが2戦連続のノーヒット。得意のホームラン攻勢もすべてが単発で、打線につながりが出なかった。