香港にやってきて初のホームゲームとなった太陽ペガサス戦は1-1。立ち上がりに1点を先制して、いい流れになりながら、追加点が獲れず、後半32分に追いつかれてしまいました。

 同点になってからもチャンスはたくさんありました。FKに合わせてのヘディングやマークをかわしての左足シュート。僕もゴールを決める機会があっただけに、結果を残せなかったのは本当に残念です。

 香港に来て早いもので1カ月。体の状態は上がっていますし、チームメイトとお互いのイメージも共有できるようになってきています。しかし、チームの中で本当に信頼を勝ち取るにはゴールしかありません。特に外国人であれば、それはなおさらです。

 現状の僕はトップ下で起用されています。ポストプレーでボールをさばいたり、ゴール前に顔を出してDFを引きつけるのがチームから求められている役割です。

 ワントップをやりたい願望はあるものの、同僚にはFW吉武剛がいます。彼は開幕から活躍し、チームトップの8ゴール。結果がすべてのプロの世界ですから、ポジションは自分でつかみ取るしかありません。

 香港に来てからは監督の勧めもあり、FKも蹴らせてもらっています。FKを任されるのは高校時代以来。自分にとっては新たな挑戦ですが、際どいところにボールは集められるようになってきました。FKでも得点に貢献し、新境地を開く。そんなつもりで練習にも取り組んでいるところです。

 香港には日本人も多く、先日は夢プロジェクトと題して、現地の日本人学校を訪問しました。僕が訪問したのは小学5年のクラス。最初の45分は皆でサッカーをして遊び、後半の45分では夢を持つことの大切さを語ります。

 子どもたちの前で話すにあたり、サッカー選手として経験してきたことをどう伝えればいいか、いろいろ考えました。それは自分のこれまでの歴史を整理することにもつながり、貴重な作業になりました。

 僕は夢を実現させるには、好奇心が何より大事だと思っています。新たなことに対して構えるのではなく、貪欲に取り入れていく姿勢が成長につながるのではないでしょうか。これはサッカーに限らず、ビジネスでも他の分野でも共通していると感じています。

 香港にいる子どもたちも海外で大変なこともあるでしょうが、人生においては貴重な経験になるはずです。せっかくの機会を前向きに捉え、自分の夢へ突き進んでほしいですね。

 いつも感じることですが、子どもたちからは大きなパワーをもらえます。横浜FC香港は日本人サポーターも多く、本当に心強いです。異国の地では日本以上に応援のありがたみが身にしみます。

 次の試合(3月10日)はFAカップの準々決勝、ホームでのタイポー戦。先日のアウェーゲームは0-0の引き分けでしたから、僕たちにとっては勝利が突破の条件となります。ホームの声援を力に変え、絶対に皆さんを喜ばせる結果を残したい。その一心で残り10日、準備をしていきます。日本の皆さんは香港からの朗報を楽しみにしていてください。

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)
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