27日に東京・有明コロシアムで行われる世界ボクシング評議会(WBC)トリプルタイトルマッチの調印式と前日計量が26日、東京・後楽園ホールで行われた。フライ級王座統一戦に臨む王者の亀田興毅(亀田)は「コンディションは最高。後はリングで亀田興毅がフライ級で一番強いんやというところを見せたい」と初防衛に自信をのぞかせた。対戦相手となる暫定王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)は同級王座を17度防衛した強豪だが、「ガンガンどつきまわしたろうかなと思うてる。KOで防衛できたら一番ええ。たたきつぶすよ」と亀田節を炸裂させた。
(写真:「パッキャオみたいやろ」とポーズをとる亀田)
 亀田が目標とする海外進出、3階級制覇へ絶対に越えなくてはならないハードルだ。ポンサクレックは前王者の内藤大助(宮田)に2007年7月に敗れるまで、6年4カ月に渡って、フライ級のベルトを保持してきた。内藤もそれまでに2度倒している他、清水智信(金子)、小松則幸(故人)、トラッシュ中沼といった挑戦者を次々と下してきた“日本人キラー”でもある。実は亀田は6年前、この最強王者とスパーリングで拳を交えた経験を持つ。当時、亀田は17歳。「それからずっと追いかけてきた相手」なのだ。

「ポンサクレックは名前がある。勝ったら“オーッ”となるやろ。2階級制覇で、ポンサクレックも倒したら、世界もほっとかれへん。3階級(制覇)も見えてくる」
 世界を驚かすには、亀田にとって勝利はもちろん内容が問われる。「ここで苦戦しているようやったらアカン」と23歳の王者は、9歳年上の元王者をKOさせる意気込みだ。父の史郎氏も「興毅のボクシングしたら倒れるやろ」と太鼓判を押す。だが、打ち合いならばポンサクレックもパンチ力がある。これまで場外での強気の発言とは裏腹に、リング上では良くも悪くも堅実なボクシングをみせてきた。相手の出方によってはベルトを奪取した内藤戦でみせたようなアウトボクシングを展開する可能性もあるだろう。
(写真:調印式を見守る父・史郎氏と大毅、和毅の兄弟)

 計量はリミットちょうどの50.8キロでパス。「ちょっと口つけただけ」と言うものの、計量直前に栄養補給のドリンクを飲む余裕をみせた。「えぇパンチ当たったら、タイ越えて、ヨーロッパまで行く。ロンドンまで行くで」。最後もビッグマウスで締めた王者は名実ともにフライ級ナンバーワンを証明することができるのか。答えは明日の夜、リングの上ではっきりと出る。

<初挑戦の黒木「自信は51%」>

 ミニマム級タイトルマッチで王者のオーレドン・シッサマーチャイ(タイ)に挑む黒木健孝(ヤマグチ土浦)は気持ちの高ぶりを抑え切れなかった。注目を集める亀田と同じ舞台での一戦とあって、多数詰め掛けた報道陣を眺めながら「こうやってカメラを向けられると興奮する。そのために今までやってきた」と緊張を楽しんでいる様子。黒木が王者を「イケメン、かっこいい」と評すれば、オーレドンが挑戦者を「礼儀正しい人」と讃えるなど、試合前日とは思えない和やかムードだった。
(写真:両者ともリミットを下回るウエイトで計量をパス)

 サウスポーのオーレドンは過去33戦無敗と強さを誇り、世界初挑戦の黒木は厳しい戦いが予想される。本人も「(ベルトは)51%とれる自信がある」とやや控えめな発言だった。その意味を「勝負には100%はない。1%でも自分が上回っていれば」と説明した28歳は、今もラーメン屋でアルバイトをして生活費を稼ぐ。「今までコーチにほめてもらったことがないので、(勝って)泣かせたい。会長、コーチと3人でハグしたい。そのイメージはできている」。狙うは日本人では高山勝成(真正)以来となる王座獲得のサクセスストーリーだ。