WBC世界フライ級前王者・亀田興毅、WBA世界フライ級王者・亀田大毅(いずれも亀田)の父・史郎氏が12日、セコンドライセンスを返上すると発表した。史郎氏は2007年10月、大毅が当時のWBC世界フライ級王者・内藤大助に挑戦した一戦で反則を指示したとして、JBC(日本ボクシングコミッション)からセコンドライセンス無期限停止の処分を受けていた。史郎氏は興毅が王者を陥落した3月27日の試合で、バッティングによる減点がカウントされていなかったとして激怒し、WBCやJBCのスーパーバイザーに暴言を吐いたことが問題となっていた。自身のブログでは「私、亀田史郎は今回の件で、多大なるご迷惑をかけましたことに深く反省し、現在停止中のライセンスを自ら返上することを決めました」と綴っている。
(写真:27日の試合後には「安河内(剛、JBC事務局長)はクビや」と怒りをぶちまけていた)
 度重なる騒動の発端となっていた亀田家の主が、自らの行為でボクシング界から身を引かざるを得なくなかった。WBCは先月の試合での史郎氏の“暴走”を強く問題視。本部のあるメキシコまで本人に出頭命令を出し、懲罰委員会にかけることが決まっていた。事態を重くみた亀田サイドも史郎氏がJBCを訪れて直接謝罪するなどしたが、“世界”を怒らせた罪は重く、厳罰化への流れは変えようがなかった。7日に開催されたJBCの倫理委員会では、最も重い罰則を与える方針で出席者全員が一致。13日の同委員会においてライセンスの取り消し処分を下すことが確実視されていた。

 また、この日開催された東日本ボクシング協会の理事会では、亀田ジムの五十嵐紀行会長が史郎氏のライセンス返上を報告。ジムの活動停止などを申し入れ、受理された。同協会では当初、ジムに対する除名も検討していたが、処分は先送りすることになった。今後、興毅、大毅、和毅の3兄弟は協会が預かる形で活動を続ける。

 しかし、世界王者の所属ジムがなくなるのは異例中の異例だ。東日本ボクシング協会の大橋秀行会長は、所属なしでも試合可能との見解を示したが、ジム制度の確立された国内では後ろ盾がないままマッチメイクを行うのは困難が予想される。これまで数々のトラブルを引き起こした亀田家を受け入れるジムが現れるのかも不透明で、3兄弟の今後に影響が出ることは必至だ。自業自得とはいえ、子離れできなかった父のおかげで、息子たちの将来にも暗雲がたちこめてしまった。