鳴り物入りで今季、東北楽天に入団したケビン・ユーキリスが左カカト痛の治療のため米国へ帰国することになった。年俸3億円(推定)ながら、ここまで21試合に出場し、打率2割1分5厘、1本塁打、11打点。5月7日付のスポニチ紙は【現時点で再来日のメドは不明。患部の状態が上向かなければ、そのまま退団する可能性もある】と報じている。

 こちらは年俸1000万円だから、ユーキリスの30分の1だ。キラ・カアイフエが1軍に復帰したため2軍落ちしたが、ライネル・ロサリオは将来性を感じさせる選手だ。

 ドミニカのカープアカデミーの出身で昨年の秋季キャンプで実力を認められ、今季契約を結んだ。死球による背中の負傷で調整のため2軍落ちしたキラに代わって1軍に上がり、8試合で打率3割3分3厘、2本塁打、4打点と代役としては十分過ぎる成績を残した。

 1日の阪神戦では岩崎優の高めのボール球をフルスイングして甲子園のバックスクリーンに叩き込んだ。いったい、どこが得意でどこが苦手か。データが少ないため、阪神バッテリーは攻めにくかったに違いない。

 今季のカープの好調は4番ブラッド・エルドレッドの活躍に依る所が大きい。6日現在、打率、打点、ホームラン数ともにリーグ2位につけている。しかしキラが死球で戦列を離れたように、野球にアクシデントは付き物だ。

 言葉は悪いかもしれないが、ロサリオの存在はカープにとって“保険”のようなものか。非常に心強い存在である。2軍でのプレーは本人には不本意かもしれないが、長いシーズン、チャンスは必ず巡ってくると誰か伝えておいて欲しい。

(このコーナーは今月のみ、二宮清純が第2、4週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第3週木曜を担当します)

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