中日に減俸の嵐が吹き荒れている。落合博満GMから提示された年俸は井端弘和が1億6000万円減の3000万円、荒木雅博が6000万円減の1億200万円、和田一浩が8000万円減の2億5000万円、吉見一起が1億1600万円減の1億7400万円、浅尾拓也が5500万円減の1億6500万円……(金額は推定)。

 チームが12年ぶりのBクラス(4位)に終わったことを考えれば“厳冬更改”は当然だが、ダウン幅が尋常ではない。「まさか、ここまで下げられるとは……」というのが大方の選手たちの本音だろう。

 逆に言えば、これが“オレ流”だ。思い出すのは落合が監督に就任した1年目のキャンプ。落合は宣言どおり、2月1日、つまりキャンプインと同時に紅白戦を行った。「キャンプインに合わせて体をつくってこなかった者は使わないからな」という無言のメッセージを実行に移したのである。

 一種のショック療法ではあったが、効果は絶大だった。「監督は本気だ。下手な真似はできない」。選手にそう思わせた時点で勝負ありだった。

 昨季、カープは10年ぶりに中日に勝ち越した。これが16年ぶりのAクラス入りにつながった。中日に対する苦手意識が払拭できたのは大きいと考えていたが、落合がGMに就任したことで楽観視できなくなってきた。

“眠れる竜”でいてほしいものだが、どうやら、そうはいかなくなったようだ。落合GM恐るべし、である。

(このコーナーは二宮清純が第1、3木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2木曜を担当します)
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