16年ぶりの3位以内が決定したカープは初めてCSに出場することになった。めでたし、めでたし、といいたいところだが、喜ぶのは早い。勝負はここからだ。

 ファーストステージは阪神との戦いになる。完全アウェーだ。どの球団の選手に聞いても「甲子園が一番やり辛い」と語る。

 過日、工藤公康と会った。1985年の日本シリーズ、工藤は西武のピッチャーとして、公式戦では初めて甲子園に乗り込んだ。

 そこで工藤を待っていたのは、きついヤジだ。しかしヤジならまだ耐えられる。「まいったのは頭の上からモノが降ってきたことです。当時はレフトの側からバスが出ていたので、スタンドからポンポンとモノが投げ込まれた。傘でも差さないといけないくらいでした」

 アウェーの洗礼だ。レギュラーシーズン、カープは甲子園で5勝4敗の星を残している。そのうちの2勝がマエケンだ。勝つも負けるもエースの右腕次第か。

「短期決戦では何が起こるか分からない」とマエケン。そう口にするぐらいだからマエケンには期するものがあるようだ。阪神からすれば「敵はマエケンひとり」ということか。ほとんどサドンデスのような戦いでマエケンは、どんなピッチングをするのか。括目したい。

(このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)
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