シーズン途中に来日して7月9日にデビュー以来、打率2割9分3厘、9本塁打、 25打点(8月14日現在)。キラ・カアイフエの活躍は想定以上だ。今では不動の4番である。

 キラを打線の軸に置いたのはいいとして、その後を打つバッターがコロコロ変わるのはどうしたものか。“日替わり5番”ではキラも不安だろう。

 阪神の4番の掛布雅之が用心棒の役割を果たしたから3番のランディ・バースが2年連続で3冠を獲れたように、巨人の4番の長嶋茂雄が無類の勝負強さを発揮したから、王貞治がホームランを量産できたように、後を打つ支え役の存在はきわめて重要である。

 カープに話を戻せば、その日の調子の良し悪しや、相手の先発ピッチャーに合わせて5番を入れ替えるのは、長い目で見た場合、決してプラスとは言えないのではないか。“日替わり5番”では任される側も準備ができまい。

 繰り返すが、カープの5番に求められる最大の役割はキラの補佐である。ある意味、4番バッターの気持ちを誰よりもわかっているバッターが、その任にあるのが望ましい。

 その意味で言えば、4番経験者の方がいいだろう。だが、現状では帯に短し、たすきに長し。強いて言えば廣瀬純が適役か。今季はブラッド・エルドレッドの故障離脱後、31試合で4番に座っている。勝負の夏場、もう、そろそろ打線を固めて欲しい。

(このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)
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