交流戦が終了した時点でカープは借金8も抱えながら、セ・リーグの3位である。4位・中日とはわずか1ゲームの差だ。

 カープの戦力からして、優勝を狙うのには無理があった。しかし「3位なら、なんとかなるだろう」というのが大方の見方だった。

 その意味で2007年からスタートしたクライマックスシリーズはありがたい。3位までに入れば日本シリーズに出場する権利を得られるのだから。

 もし、この制度がなかったら、今季のセ・リーグのペナント争いは、ほぼ巨人と阪神にしぼられていた。絵に描いたような2強4弱の構図だ。

 しかし、一方で「大量の借金を抱えるチームが日本シリーズに出ていいのだろうか?」との思いも残る。理論上はペナントレースで負け越したチームが日本一になることができるのだ。

 過去、ペナントレースで負け越しながら、クライマックスシリーズに進出したチームは09年の東京ヤクルトだけ。この時はファースト・ステージで姿を消している。

 先述したように、このプレーオフ制度があるお陰で、弱小チームのファンは、ペナントレースへの興味をつなぎとめることができる。その意味では制度導入の狙いは当たったと言える。しかし、5割をはるかに下回るチームがリーグの代表として日本シリーズに出場した場合、制度見直しの声が出てくるのは必至である。

(このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)
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