惜しかったですねえ。5月10日の中日戦。逆転サヨナラを、センター大島洋平にもぎとられてしまった。

 より詳しく言うと、3-4と1点リードを許して迎えた9回裏。カープは相手クローザー岩瀬仁紀を2死満塁と攻め立てる。

 打席には迎祐一郎。打った! 左中間突破――と思った瞬間、大島が横っ飛びで、これをつかみとる超ファインプレー。カープは1勝、損してしまった。

 たしかに5月3日から7日までの5連敗はひどかった。特に巨人にあっさり3連敗とは情けない。意地というものはないのか、と言いたくなる。

 言いたくなるし、言うべきだとも思うが、ここはあえて楽天的になって、あるいはポジティブになって、10日からの中日3連戦からの星で見てみよう。15日までで3勝2敗である。

 しかも、10日にもし大島のスーパープレーがなければ4勝1敗なのだ。つまり、勝ち切る力はあるということである。11日だって2-3と1点リードされている8回1死から今村猛を出さなかったらわからなかった。毎回申しますが、今村は使いすぎないことが大事だ。

 ポジティブに考えるという意味では、カープで、いま一番オススメの選手は菊池涼介である。まさか、満塁ホームランを打つ(12日)とは思わなかったけれども、見るべきはセカンドの守備である。

 なにしろスピードがある。一歩目のダッシュがいい。だから、やたら守備範囲が広い。往年の西武の名二塁手・辻発彦も広かったよなあ、と思わず思い出すほどだ。

 それにしては、エラーが多すぎるのではないか(リーグ最多の11個)、という批判があるだろう。それについては、並のセカンドでは、とうてい追いつけずにヒットになる打球も、菊池は持ち前のスピードで追いついてしまう。ゆえに無理をして、エラーしてしまうのだ(少なくともそういうケースも多い。凡ミスもあるが)と反論したい。

 当然、ショートにまわしてもいいと思うが(現に守ったこともある)、もしかしたら、セカンドの動きが、彼には合っているのではないだろうか。ライト側のファールゾーンを追い、センター前に追いつき、一塁手が抜かれた当たりにまわりこんでつかむ。

 勝敗を超越して見ているだけで楽しい。彼には、もちろん現状に満足せず、もっともっと派手に守備範囲を広げていってほしい。それこそがプロだ。

 ショートには、梵英心も安部友裕もいるけれど、将来は今年のドラフト2位・鈴木誠也(二松学舎大付高)が入ったらいいですね。菊池、鈴木の二遊間に、サード・堂林翔太。ちょっと夢があると思いませんか。

 最後に、今年のペナントレースに戻ろう。交流戦のカギは野村祐輔の復調いかん。これに尽きる。

(このコーナーは二宮清純と交代で毎週木曜に更新します)
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