最初から強いとは思っていたが、その強さは、こちらが想定した以上だ。10日現在、巨人は1分けをはさんで開幕7連勝するなど7勝1敗2分け。早くも2位・東京ヤクルトに2.5ゲーム差をつけている。

 ちなみに開幕7連勝は巨人では1941年以来、72年ぶりだというのだから恐れ入る。川上哲治や中島治康、千葉茂らが主力の伝説のチームに並んだのだ。

 今季、巨人が有利な背景にはルール変更もある。昨季までは節電を理由に3時間半を超えて新たな延長回に入らないというルールがあったが、今季から、それが撤廃された。選手の層の厚い巨人にすれば願ったり、かなったりだろう。

 翻ってカープは10日現在、4勝5敗1分けと負け越している。チーム打率はリーグトップ、防御率は2位なのだが……。5敗のうち、1点差負けが3つ。かつて知将・野村克也は「1点差負けは監督の責任」と語っていたが、もうひとりのノムラ監督は、どんな思いでいるのだろう。

 それはともかく、こうなれば巨人には走ってもらった方がいいのかもしれない。元々、カープの首脳陣も本音の部分では優勝は難しいと考えていたはずだ。選手たちに、はっきりと「今季の目標はクライマックスシリーズ出場」と言明し、それに沿ったシーズンプランを練り直すべきだ。

 幸か不幸か、今季のセ・リーグに巨人を追い落とせるチームはいないような気がする。つまり2位以下は混戦になる可能性が高い。目の上のたんこぶを叩き、とりあえず足元のチームを蹴落とす。カープには順位表をにらみながらの戦いが求められる。

(このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)


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