24日、第15回世界陸上競技選手権3日目が中国・北京で行われ、女子100メートル決勝は前回短距離3冠のシェリー=アン・フレイザー・プライスが10秒76で優勝した。フレイザー・プライスは2大会連続3度目の金メダルを獲得。福島千里(北海道ハイテクAC)は準決勝2組で7位(11秒32)に終わり、準決勝で敗退した。男子やり投げ予選は新井涼平(スズキ浜松AC)が84メートル66を記録。予選通過ラインの83メートルを上回り、全体2位で26日の決勝へ進出した。
 スプリンター王国ジャマイカの女王が圧倒的な力を見せつけた。フレイザー・プライスが女子100メートルを制し、今大会1冠目を手にした。

 ピンクのエクステ、スパイクを纏うド派手な出で立ちで、モスクワの地を駆け抜けたフレイザー・プライス。100メートル、200メートル、400メートルリレーで世界選手権女子初の短距離3冠を達成した。連覇のかかる今大会は緑の髪、花の髪飾りをつけレースに臨んだ。

 今シーズン世界ランキング1位。大本命のフレイザー・プライスに対抗するのは、同胞で2007年大阪大会を制したヴェロニカ・キャンベル・ブラウン。アフリカ勢初の金メダルを狙うブレッシング・オカグバレ(ナイジェリア)、成長著しいミッシェル・リー・アヘイ(トリニダードトバゴ)とトリー・ボウイ(米国)ら若手もいる。中でも準決勝でフライザー・プライスに次ぐ全体2位で突破したダフネ・スキッパーズ(オランダ)は侮れない。七種競技から転向してきた伏兵が、意気揚々と女王に挑む。

 迎えたファイナル。明るいキャラクターでお馴染みのフレイザー・プライスも直前までは、ナーバスな表情を浮かべていた。5レーンは前夜、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が走った“センターレーン”だ。それでも自らの名をコールされると、主役は笑顔で観衆に応えた。

 スタートから抜け出したのは152センチの小柄なスプリンター。フレイザー・プライスは小気味いいピッチから、グングン加速する。駆け抜けた“緑の閃光”は、誰よりも速くゴールラインを通過した。長身で大きなストライドのスキッパーズに迫られたものの、フィニッシュの際には右手を天に突き上げ、勝利を誇示。圧倒的な存在感と強さを見せつけた。

 主な結果は次の通り。

<女子100メートル決勝>
1位 シェリー=アン・フレイザー・プライス(ジャマイカ) 10秒76
2位 ダフネ・スキッパーズ(オランダ) 10秒81
3位 トリー・ボウイ(米国) 10秒86
※福島千里(北海道ハイテクAC)は準決勝敗退

(文/杉浦泰介)