27日、第15回世界陸上競技選手権6日目が中国・北京で行われ、男子200メートル決勝はウサイン・ボルト(ジャマイカ)が19秒55の今シーズン世界最高記録で同種目4連覇を達成した。ボルトは今大会2冠目、世界選手権通算10個目の金メダル獲得となった。2位にはジャスティン・ガトリン(米国)、3位にはアナソ・ジョボドワナ(南アフリカ)が入った。女子400メートル決勝はアリソン・フェリックス(米国)が49秒26の今シーズンベストで初優勝。フェリックスは世界選手権通算9個目の金メダル獲得で、自身の持つ女子最多記録を更新した。
 男女のゴールドコレクターが、勲章をまたひとつ積み上げた。男子200メートルのボルト、女子400メートルのフェリックスが圧勝で自身の持つ金メダル獲得数最多記録を伸ばした。

“最速のスプリンター決定戦”第2ラウンドは、男子200メートル決勝。同種目の世界記録保持者で3連覇中のボルトは6レーン、今シーズン世界ランキング1位のガトリンは4レーンに入った。3日前の夜にも北京の鳥の巣スタジアム(北京国家体育場の愛称)で相まみえた2人。第1ラウンドの100メートル決勝はボルトに軍配が上がっていた。

 リラックスした表情でスタートを待つボルト。ガトリンとの勝負を楽しんでいるようにも映った。号砲が鳴り、先にリードを奪ったのはボルトだ。大きなストライドからグングン加速していった。カーブを終え、直線に入った時には完全に先頭に立っていた。ガトリンは彼の背中を追いかけたが、とらえることはできない。ボルトは最後は流す余裕を見せて、勝利した。フィニッシュタイム19秒55はガトリンの19秒57を抜いて今シーズンベストだ。“人類最速”と謳われる男は、世界選手権10個目の金メダルを手にし、北京の地で最強を証明してみせた。

 大邱で獲り逃した栄冠を、北京で掴み取った。これまで世界選手権8個の金メダル手にしたフェリックスは1600メートルリレーで3度の優勝を経験しながら、400メートルでは2011年大邱大会での銀メダルが最高順位だった。今大会は3度優勝した得意の200メートルでの出場権を有していながら、400メートルを選択したことからも、この種目への並々ならぬ決意を感じさせた。

 今シーズン世界ランキング1位のフランセナ・マッコロリー(米国)はフェリックスが優勝した全米選手権で4位となり、今大会の米国代表から漏れていた。表彰台の頂点を争うライバルがひとり減り、巡ってきた大きなチャンス。それをみすみす逃すわけにはいかない。スタートと同時に勢い良く飛び出したフェリックス。赤いユニホーム、白いロングソックスが鮮やかなコントラストが北京のトラックによく映えた。力感のないしなやか走りで、他を寄せ付けず、そのまま逃げ切った。駆け抜けた49秒26は自己ベスト。世界大会が未勝利だったこの種目で、過去の自分を塗り替えた。

<男子200メートル決勝>
1位 ウサイン・ボルト(ジャマイカ) 19秒55
2位 ジャスティン・ガトリン(米国) 19秒74
3位 アナソ・ジョボドワナ(南アフリカ) 19秒87
※サニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)、藤光謙司(ゼンリン)、高瀬慧(富士通)は準決勝敗退

<女子400メートル決勝>
1位 アリソン・フェリックス(米国) 49秒26
2位 ショーナ・ミラー(バハマ) 49秒67
3位 シェリッカ・ジャクソン(ジャマイカ) 49秒99

(文/杉浦泰介)