バドミントンのスーパーシリーズ(SS)「第34回ヨネックスオープンジャパン2015」が9日、東京体育館で本戦がスタートした。年間12戦開催のSSは五輪、世界選手権に次ぐグレードの世界バドミントン連盟(BWF)公認大会。男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの全5種目で優勝が争われる。今年5月からは来夏のリオデジャネイロ五輪の選考レースがスタートしており、上位に進出すれば高ポイントを獲得できるSSは各選手が目の色を変えて挑んでくる舞台である。日本勢も女子ダブルスBWF世界ランキング1位の高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)を筆頭に、男子ダブルス同6位早川賢一&遠藤大由組(日本ユニシス)、男子シングルス同3位の桃田賢斗(NTT東日本)、女子シングルス10位の山口茜(勝山高)らに期待がかかる。
 近年、目覚ましい成績を挙げている日本バトミントン界。2012年ロンドン五輪銀メダルを始め、昨年は団体の国別対抗戦で男子のトマス杯優勝、女子のユーバー杯で準優勝を果たした。今年は男女混合の団体戦スディルマン杯で銀メダル。8月の世界選手権では男子シングルス、男女ダブルスの3種目で銅メダルを獲得した。9月3日現在のBWF世界ランキングでも混合ダブルスを除く4種目で日本勢がトップ10入りを果たしている。SS唯一の日本開催となるヨネックスオープンは、国内のファンに自らのプレーを披露する絶好の機会だ。男子ダブルスの遠藤が「世界選手権と同じくらい価値があると思っている」と語るように大会に対するモチベーションの高い選手も多い。

 中でも大会初優勝に燃えているのが男子である。決勝に進出し、最終日まで残ったのは13年の田児賢一(NTT東日本)ただひとり。7度の女子とは水をあけられいる状況だ。男子シングルスの第一人者の田児は予選で敗退したが、男子ダブルスの早川&遠藤組、そして男子シングルスの桃田が男子初優勝の快挙に挑む。

 現在、全日本総合3連覇中の早川&遠藤組は、BWF世界ランキング6位につけている。トマス杯優勝、スディルマン杯準優勝にも貢献した国内屈指のペアである。男子主将を務めた早川は「男子ダブルスはどこが勝ってもおかしくない。僕たちにもチャンスはある。自分たちの名前を刻めるようにしたい」と闘志を燃やす。

 前衛の早川、後衛の遠藤とともにシャトルに食らいつくようなレシーブで、泥臭いプレーを身上とする。SSではコンスタントに上位へ進出するなど、安定感抜群のペア。だが、ヨネックスオープンではここ2年で2回戦、初戦敗退と思うような結果を残せていない。早川は「ホームであまり勝てていない。1回戦勝てれば、波に乗っていけると思います」とターニングポイントを初戦にあげる。

 世界選手権では、男子ダブルスとして日本勢8年ぶりの表彰台に上がった。早川は「自分たちは“メダルを獲りたい”と思い、きつい合宿をこなしてきた。その結果で獲れたことは自信になりました」と振り返る。ハードなトレーニングで鍛えられたメンタルが、最後の最後まで諦めない粘りのプレーに生きた。「状態的にはあまり世界選手権の時と変わらない」という今回も目指すは、高いところにある。

 これまで6度、SSでは決勝に進みながら、あと一歩優勝には届いていない。昨年は所属先の後輩である高橋と松友が手にしたヨネックスオープンの優勝。悲願の初優勝は、意地でも掴み取る。

 日本勢で唯一、大会連覇に挑戦する権利を持っているのが、高橋&松友組だ。聖ウルスラ学院英知高からダブルスを結成し、9年目を迎える先輩後輩ペア。昨年日本勢で初めて輝いた世界ランキング1位も、今年4月に再びトップに立つと、5カ月以上もの間、維持している。

 障壁となるのは中国勢だ。国際大会で180勝を挙げ、7割近い勝率を誇る“タカマツ”ペアでさえ、対戦成績は15勝39敗と大きく負け越している。最初の関門は準々決勝で当たる可能性の高いマー・ジン&タン・ユァンティン組だろう。特にロンドン五輪混合ダブルス銀メダリストのマー・ジンとは9戦して一度も勝てていない(マー・ジン&タン・ユァンティンとは2戦2敗)。リオ五輪での金メダル獲得を公言している2人にとって、苦手意識は払拭しておきたい。

 一昨年、山口は女子シングルスで優勝を果たしたことで“スーパー女子高生”としてメディアにも大きく取り上げられるなど、生活は一変した。自身でも「私の転機となった忘れられない大会」と語っていた。昨年は高橋&松友組がSS初制覇を達成し、その後は日本バドミントン史上初のBWF世界ランキング1位に輝いた。さらにSSファイナルを制するなど、SSは通算3勝を挙げている。まさに彼女たちのその後の人生を大きく変えたヨネックスオープン。リオ五輪の選考レース真っ只中、今年は誰の手に栄冠が渡るのか。

【第34回ヨネックスオープンジャパン2015】
・9日(水)   各種目1回戦  10時〜
・10日(木)   各種目2回戦  10時〜
・11日(金)   各種目準々決勝 12時〜
・12日(土)   各種目準決勝  12時〜
・13日(日)   各種目決勝   12時〜

※会場はすべて東京体育館