ジャパン・フューチャーベースボールリーグ(JFBL)は17日、大阪市内で会見を開き、リーグを構成する大阪ゴールドビリケーンズが経営難で来季の公式戦に参戦できないため、リーグとしての活動を一時休止すると発表した。今シーズンの残り試合は予定通り実施する。JFBLは今季より、大阪と三重スリーアローズの2球団でスタートしたが、6月に大阪球団で選手たちの野球賭博関与が発覚。もともと厳しい経営状況だった上にチームスポンサーが撤退し、球団存続が危ぶまれていた。各球団は今後、球団存続に向けて方針を決定するが、三重は現在、交流戦を実施している四国・九州アイランドリーグへの参入を希望している。
 心配されていた事態が、とうとう現実のものとなってしまった。2005年に日本球界初の独立リーグ、四国アイランドリーグ(当時)が誕生して以来、全国に生まれたリーグは4つ。そのうち、もっとも新しくできたJFBLがわずか1年で、リーグ戦継続が不可能な状況に追い込まれた。

 JFBLはもともと関西独立リーグに参入予定だった三重が、方向性の違いから脱退し、新たに立ち上げたリーグだ。のちに大阪も関西独立リーグから分かれて参入した。だが4球団での発足を目指していた当初の構想は、大幅に変更を余儀なくされた。まず淡路島を拠点とする新球団設立が難航。残る1球団の立ち上げも進展がなかった。スタートの時点でリーグ側も準備不足を認めており、“見切り発車”の感は否めなかった。

 アイランドリーグと交流戦を実施することで、試合数こそ確保できたものの、2球団によるリーグ戦ではファンを引きつける要素は乏しい。先行する独立リーグがいずれも頭を悩ませてきた認知度不足も解消できず、主催試合の観客動員が1000人を超えた回数はゼロ。隣接していない三重と大阪では、リーグ全体を支援するスポンサーを探すことも地理的に難しかった。

 独立リーグが日本にできて今年でちょうど5シーズン目。そのあり方は大きな曲がり角を迎えている。最初に産声をあげたアイランドリーグでは、今季は2008年から参入した福岡レッドワーブラーズが経営立て直しのため、リーグ戦に不参加。徳島インディゴソックスも累積で1億5000万円の赤字を計上し、親会社が撤退した。今季に限ってリーグが経営を肩代わりする形で何とかチームを運営してきたが、未だに新オーナーは決まっていない。また長崎セインツも1年間の運営資金が賄えず、監督や選手を“リストラ”する形を取らざるを得なかった。来季の存続は微妙な情勢だ。

 JFBLが袂を分かった関西独立リーグでは、資金繰りが行き詰まり、3球団が6月から選手給与を全額カットする事態に追い込まれている。多くの選手たちはアルバイトをしながら、公式戦に臨んでおり、既に“プロ野球”とは呼べない状態だ。リーグでは来年から運営母体を株式会社からNPO(非営利法人)に変更する予定で、事実上は社会人クラブチーム化に舵を切った。

 国内の経済状況が上向かない中、独立リーグにとって、今はまさに“冬の時代”だ。しかし、この5年間で独立リーグから27選手がNPBのドラフト指名を受け、オリックスのフランシスコ・カラバイヨのように独立リーグで実績を積んで、助っ人として活躍している例もある。また、NPBの試合がめったにない地方では、地域住民にひとつの娯楽を提供した。独立リーグが各地に生まれたこと自体は大きな意義があった。

 そういった地域密着や社会貢献の側面を、もっと独立リーグ側も重視し、アピールすべきだろう。リーグや球団がなくなることは、その地域にとって損失になる。そう思わせるだけの戦略を練ることが必要だ。「いろいろ大変なこともあったけど、せっかくできたリーグ。ずっと続けてほしい」。体調不良のため、シーズン半ばで退いた三重の松岡弘前監督はそう語っていた。JFBLでは運営会社を残し、新規球団が見つかればリーグを再スタートする構え。独立リーグがこれまで播いてきた種を無にしないためにも、もう1度、足元を見つめなおし、春の訪れを待ちたい。

(石田洋之)

【関西独立リーグ】

 紀州にM2点灯! 18日にもV(紀州4勝3敗2分、明石、77人)
紀州レンジャーズ     5 = 020002100
明石レッドソルジャーズ 4 = 000300001
勝利投手 新田(8勝4敗)
敗戦投手 佐藤(2勝4敗1S)
本塁打  (明)ランデル1号2ラン

 韓国、7連敗で最下位確定(神戸6勝2敗、明石、40人)
神戸9クルーズ     11 = 003123020
韓国ヘチ          4 = 000100120
勝利投手 小池(3勝4敗)
敗戦投手 文炯天(0勝5敗)

<順位表> 勝  負  分   勝率   差  残 
1.紀州   21  6   3  .778  M2  6
2.明石   17  10  4  .630  4.0  5
3.神戸   12  16  1  .429  5.5  7
4.韓国   5  23  2  .179  7.0  6