四国・九州アイランドリーグは29日、岡山市内で理事会を行い、経営難のため来季のリーグ戦への不参加を表明していた長崎セインツが正式にリーグを脱退することを発表した。引き続きリーグでのプレーを希望する長崎の選手には救済ドラフトが10月13日に行われ、四国の4球団に分配される。アイランドリーグでは昨季も、福岡レッドワーブラーズが同様の理由でリーグ戦不参加に追い込まれており、これで2008年に創設した九州の2チームはいずれも撤退する形になった。
 長崎の球団経営はスタート時から火の車だった。初年度には約3500万円の赤字を計上。リーグ側が2000万円を融資して何とかチームが存続した経緯がある。昨季もチームは前期優勝をおさめ、松井宏次内野手が楽天から育成指名を受けたが、経営環境は好転せず、今季は1年間の運営を維持する資金が賄えない状態でシーズンに突入していた。3年間での累積赤字は1億円超。地頭薗哲郎オーナーが「破産宣告の可能性もある」と漏らすほどだった。負債を大きく抱えたままでは、自治体や地元企業の支援も得られず、運営を続けることは厳しかった。

 リーグでは徳島も多額の赤字に悩み、親会社が撤退。今季よりリーグが経営を肩代わりしている。新オーナー探しは難航しており、来季もリーグが主体となって運営する可能性が高い。近い将来、四国の“4枠”すら維持できない心配もある。
 九州に球団を根付かせることはできなかったが、リーグ発展のため、エクスパンション自体は間違いではなかったと考える。ただ、長崎と福岡だけでは地理的に四国と離れており、遠征などにコストがかかるほか、スポンサー営業でも難しい点があったのではないか。現在、来季から活動を一時休止するジャパン・フューチャーリーグから三重スリーアローズが参入を申し出ており、結論は10月13日に出される。三重も地理的には遠く、球団経営も盤石ではない。リーグの経営陣がどのような判断を下すのか注目だ。

(石田洋之)