2日に後楽園ホールで行われるWBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチの調印式と前日計量が1日、都内で行われた。王者のプーンサワット・クラティンデーンジム(タイ)との一戦に臨む挑戦者の李冽理(横浜光)は「自分の届く範囲にベルトがあるのは、これから何度あるかわからない。これが最後のつもりで自分のすべてを賭けて獲りにいきたい」と決意をみせた。一方、4度目の防衛戦となるプーンサワットは「防衛する自信は100%あります」と力強く言い切った。
(写真:「コンディションは絶好調そのもの」と語る李(右)と王者のプーンサワット)
 李はデビューからちょうど5年での世界初挑戦だ。今年2月にフェザー級で日本王者となり、6月に同王座を防衛。今回は1つ階級を落としてベルトを狙う。「減量は得意」と自ら語るように、試合が決まった段階から普段は63キロの体重を61キロにセーブ。約1カ月間で徐々に落とし、この日の計量ではリミットを100グラム下回る55.2キロだった。計量前は多くのボクサーが空腹で元気がないものだが、李は報道陣の取材にも立って応えるなどコンディションは良好のようだ。

 所属する横浜光ジムでは3人目の世界チャンピオンを目指す。過去の王者は畑山隆則(WBAスーパーフェザー級、ライト級)、新井田豊(WBAミニマム級)。創設15年目で3人目の戴冠なら、これは日本のジムでは最速となる。目標とするのは在日コリアンの先輩ボクサー、徳山昌守(元WBCスーパーフライ級王者)だ。憧れの存在から「1Rから行け」とメールももらった。今回、リングへの入場曲には、本人曰く「徳山さんにたどりつくという思いを込めて」同じものを採用。ベルト奪取に弾みをつける。
「(相手は)前からどんどんくるはず。打ち合って驚かせたい」
 WBAの同級ランキングは14位で失うものは何もない。接近戦でもアウトボクシングでも望むところだ。
 
 対するプーンサワットは日本人との防衛戦はこれで3回連続となる。今年1月には細野悟(大橋)に2−0の判定で勝利。1人のジャッジがドローをつけたが、対戦した細野は「相手のパンチはキレがあった。強ぇーと思った」と完敗を認めていた。さらに5月には木村章司(花形)を地元・タイに迎え、3度のダウンを奪って4RKO。過去42戦でわずか1敗しかしていない強打の持ち主だ。挑戦者より身長では10センチ、リーチで8センチ下回るものの、「全くプレッシャーを感じることはない」と気にしていない様子だった。

 下馬評はバンタム級との2階級制覇を果たしているチャンピオンのほうが優勢。だが、李は「みなさんの予想を覆す試合をみせます」と宣言した。李が一躍、注目を集めた試合といえば、昨年7月の榎洋之(角海老宝石)戦だ。世界挑戦の経験を持つ榎が圧倒的有利との見方が大半を占める中、接戦を制して周囲を驚かせた。今回、それを上回る番狂わせをみせられれば、一気にスターダムにのしあがれる。

(石田洋之)