ボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが23日、大阪府立体育会館で行われ、挑戦者の同級6位・久高寛之(仲里ATSUMI)は王者のウーゴ・カサレス(メキシコ)に0−3の判定で敗れ、王座獲得に失敗した。久高は過去2度、フライ級のベルト獲得に失敗しており、今回は階級を上げてタイトルを狙ったが、悲願は達成できなかった。カサレスは5月に名城信男(六島)から王座を奪って以降、早くも3度目の防衛に成功した。
 3度目の正直はならなかった。ただ、チャンピオンの圧倒的優位が予想される中、見せ場は何度もつくった。4Rには右のカウンターがアゴをとらえ、カサレスをぐらつかせた。8Rにもカウンターの右ストレートが顔面に炸裂。王者をコーナーに追いつめた。

 しかし、それ以外の場面では、ほぼ2階級制覇の王者がペースをつかんでいた。カサレスはオーソドックスからサウスポーへとスタイルを自在に変えながら、ノーモーションのストレートやフェイントをかけたフックを次々と繰り出し、着実にポイントを稼いだ。対する久高はカウンター狙いで手数が少ない上に、3Rには右目の上をカット。ラウンドを追うごとに出血が激しくなり、ジャッジの印象も悪くなった。

 挑戦者も立ち上がりは右ボディでひるんだところへ体を寄せてパンチをまとめる戦いができていた。後半はカサレスも明らかに疲れが見えていただけに、序盤から中盤にかけて、もう少しボディでダメージを与えておけば、もっとチャンスは広がったかもしれない。

 3度の世界挑戦はいずれもフルラウンドを戦っての判定負け。まだ25歳と若いが、チャンスはそう何度も訪れるものではない。本人もボクシング人生を賭けて臨んだ一戦だった。越えられそうで越えられない世界の壁。階級を上げても、それはなお高く厚かった。