「（東北楽天・田中将大投手から）ホームランを打ちます！」。昨年12月の埼玉西武の新人入団選手発表会見で、集まった大勢のファンや報道陣が最も沸いたのが、林崎遼のホームラン宣言だった。林崎は、東洋大姫路高３年夏、甲子園で田中からホームランを放っている。それだけに４年間、プロの第一線で活躍する同級生と再び対戦する日が待ち遠しいようだ。
―― 指名された瞬間の気持ちは？
林崎： ビックリしました。まさか指名されるとは思っていなかったので……。本当に嬉しかったですね。
―― プロで対戦を楽しみにしているのは？
林崎： 田中将大投手ともう一度、対戦してみたいなと思っています。
―― その田中投手から高校３年時、甲子園ではホームランを放った。
林崎： たまたま打てただけです。当時の田中投手は、見たこともない球を投げるすごいピッチャーでした。真っ直ぐもよかったですけど、やっぱりあのスライダーには驚きましたね。今は全てにおいて高校時代よりもレベルアップしているのは、テレビを見ていてもわかります。だからこそ、対戦してみたいなと。
―― 大学４年間で成長したところは？
林崎： 守備です。高校時代は正直、守備が嫌いでした。でも、守備での一つのミスが命取りになることもある。内野手ですし、プロを目指すにしても、しっかりと守れるということが大事になってくると思ったので、一番に鍛えました。指名されたのも打って、守って、走れる、というところを評価されたからだと思います。
―― 大学で一番印象に残っているピッチャーは？
林崎： 早稲田大の福井優也さんです。日本代表の選考会で対戦したのですが、真っ直ぐもスライダーもすごかった。福井さん自身、絶好調だったらしいのですが、実際に打席に立って「これは打てへんな」と思ってしまいました。
ファンの期待は裏切らない！「勝負強さがウリ」という林崎。高校、大学と勝敗を分けるここ一番での彼の一本が、チームを勝利へと導いてきた。生命線とも言えるその武器が、彼をプロへと押し上げた。緊迫感あふれた場面であればあるほど力を発揮する林崎にバッティングにかける思いを訊いた。
―― 自分にとって最大の武器は？
林崎： ここ一番という時に打てる勝負強さだと思います。特にチームが苦しい時に流れを変える一本。それが出た試合が、４年春のリーグ優勝決定戦の国士舘大戦でした。２点ビハインドで満塁の場面で打席がまわってきたんです。その試合、全くヒットが出ていなかったんですけど、同点タイムリーを打ちました。「やっぱり、自分は何かもっているな」と思いましたね（笑）。
―― バッティングで重要視していることは？
林崎： 力を入れないこと。体を楽な状態で構えて、力を入れずに体幹で打つという感じですね。チャンスの時こそ「打ったらヒーローやな」という気持ちになって、自然と力が入るのですが、意識としては楽にということを心がけています。
―― プロでの課題は？
林崎： もう全てです。守備も打撃もレベルアップしないとプロでは通用しないと思っています。中島裕之（西武）さんのように打って、守って、走れる、オールマイティな選手になりたいです。中島さんのすごいところは、右方向に大きな当たりを飛ばせるところ。それと狙い球でないボールでも、器用にヒットにしてしまうところですね。自分自身は基本的にストレート待ちなので、変化球が来たら一瞬、体が止まって打つというのが理想。それが調子が悪くなるとできなくなるので、いつも対応できるようにしたいです。
―― ファンへのアピールポイントは？
林崎： ファンの皆さんが「ここで打ってくれ！」という場面で絶対に打つ自信がありますので、期待していてください！
「練習はウソをつかない」が座右の銘という林崎。高校時代の恩師、藤田明彦監督から口を酸っぱくして言われた言葉だ。練習から妥協を許さなかった恩師の教えをプロでも守り、１年目での一軍入りを目指す。
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林崎遼（はやしざき・りょう）プロフィール＞
1988年６月12日、兵庫県生まれ。東洋大姫路高では１年夏からレギュラーとして活躍。３年夏には甲子園に出場し、準々決勝の駒大苫小牧戦で田中将大からホームランを放った。東洋大では2009年春、10年春にベストナインを獲得。174センチ、80キロ。右投右打。
（聞き手・斎藤寿子）
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