東日本大震災からの復興を支援すべく、格闘技14団体が15日、共同でチャリティプロジェクト「FIGHT FOR JAPAN」を立ち上げた。今後は各団体の大会やイベントで「FIGHT FOR JAPAN」をテーマに、共通のロゴを使用して、そのグッズなどの売り上げを被災地に寄付する。概要発表会見には、参加14団体のうち9団体の代表、幹部が集結。選手代表として参加した桜庭和志が「僕たち選手はリングの上で希望や元気を与えることが一番。精一杯頑張ります」と意気込みを述べた。
(写真:キャンペーンのロゴ入りTシャツを手にする桜庭(右から3人目)と各団体の代表たち)
「戦後復興で力道山がそうであったように、格闘技を通じて日本に勇気、生きる力を示していきたい」
 K-1の谷川貞治イベントプロデューサーはこの取り組みへの熱い思いを口にした。プロジェクトに賛同するのは、立ち技系のK−1、マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟、新日本キックボクシング協会、ニュージャパンキックボクシング連盟、J-NETWORK、RISE、Krush、BIG BANGの計8団体と、総合系のDREAM、サステイン、パンクラス、DEEP、ZST、ジュエルスの計6団体。日頃はライバル関係にある団体も少なくないが、「こういう時こそ仲良くして東北のために頑張っていきたい」(DEEP佐伯繁代表取締役)と被災地支援へタッグを組んだ。

 今後は各団体が同じ旗印の下、チャリティ活動を実施し、義援金や収益を国連ハビタットを通じて被災者へ届ける。国内のみならず、海外にもその輪を広げる考えで、既に10日にサンディエゴで開催されたStrike Forceでは川尻達也と対戦したギルバート・メレンデス(米国)やゲガール・ムサシ(オランダ)などが趣旨に賛同し、ファイトパンツに「FIGHT FOR JAPAN」のロゴを入れて闘った。K-1の谷川イベントプロデューサーは海外で「FIGHT FOR JAPAN」と銘打った大会を開催する考えも明らかにした。

 また、政界からは野田聖子衆議院議員も、このプロジェクトを応援。野田議員を中心に展開している「メンため活動」(エンターテインメントでストレスを発散し、元気になることを推進する活動)と連携し、K-1人気選手の入場曲を集めたCDをリリースする。CDは被災地に寄贈されるほか、1枚につき100円を寄付する予定だ。

 プロジェクトの一環としては、今後、団体の垣根を越えた合同興行といったプランも考えられる。谷川イベントプロデューサーは「イベントがやりたくて、このプロジェクトを掲げたわけではない」としつつも、「Dynamite!!などの大きなイベントで何かできればいい」とその可能性に言及した。

 震災前から格闘技界はスポンサーの撤退やメディア露出の減少もあり、厳しい状態が続いている。そこへ襲いかかった未曾有の大災害。関東圏では節電の問題に加え、会場の確保も難しくなった。メジャー団体であるはずのK-1やDREAMでさえ、主催のFEGが財政難に陥り、今年度のスケジュールが4月に入っても発表できないでいた。

「3本の矢ではないが、立ち技、総合が個々の活動だけではなく、格闘技全体として被災地の方に物資や勇気を届けていきたい。この活動が長く続くように頑張りたい」(パンクラス坂本靖運営本部長)
 各団体が利害を越え、一丸となる今回のプロジェクト。この試みを被災地のみならず、日本の格闘技界そのものも元気にするきっかけとしたいところだ。

 なおDREAMは5月29日にさいたまスーパーアリーナで、新設するバンタム級の日本トーナメントを開催。K-1は6月末に「FIGHT FOR JAPAN」をテーマに日本人トーナメントを実施する方向であることも併せて発表された。