連続出場の世界記録をつくった衣笠祥雄は現役時代、ほとんど体重が変わらなかったという。引退後も、時計の針が夜の10時を過ぎると、テーブルの上に箸を置いた。その姿を見て「さすが鉄人」と思ったものである。

 

 カープで言えば通算148勝138セーブの大野豊も、体重の増減がほとんどない選手だった。だから43歳までプレーできたのだろう。

 

 過日、50歳での登板記録をつくり、今季限りでユニホームを脱いだ山本昌と話す機会があった。

 

「食べたいものは食べればいい」という考え方の山本だが、体重だけは気にしていたという。

 

「毎日、体重計には必ず乗りました。練習が終わって、通常の体重より0.5キロでも多ければ、“今晩は米を食べるのはやめよう” とかね。逆に軽い場合はご飯を2杯食べたりしていました」

 

 山本によれば、体重管理をきちんとやったお陰で、「ユニホームのズボンのベルトは3、4年もった」という。「ベルトがきついか緩いかだけで、その日のコンディションが分かりましたよ」

 

 体重は、ただ軽ければいいというわけではない。ダルビッシュ有(レンジャース)は計画的に体重を増やしていった。メジャーリーグ挑戦を視野に入れていたのだ。

 

 これは衣笠も語っていたが、体重の増減の激しい選手に名選手はいない。自己管理ができないことに加え、胃腸が丈夫ではないのかもしれない。

 

 球団と選手の契約は11月までであり、12月1日から1月31日まではオフとなる。オフの期間でも気持ちのスイッチだけはオンにしておき、来季に備えたい。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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