ボクシングのWBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチが2日、米ラスベガスのMGMグランドで行われ、王者の西岡利晃(帝拳)が挑戦者で同級2位のラファエル・マルケス(メキシコ)を3−0の判定で下し、7度目の防衛に成功した。日本人王者が米本土で防衛を果たしたのは史上初の快挙。35歳2カ月の西岡は日本人の最年長防衛記録(内藤大助の34歳8カ月)を塗り替えた。試合後、帝拳ジムの本田明彦会長は次の防衛戦で西岡を引退させる考えを表明した。
 聖地で、その強さをみせつけた。相手は元2階級制覇チャンピオン。最高の舞台で迎えた最強の挑戦者に対し、終始、優位に試合を進めた。

 立ち上がりから挑戦者は王者得意の左を警戒してきた。西岡が左のパンチを繰り出したところへ右を返す。ハイレベルな応酬が続く中、西岡は慌てなかった。右ジャブで間合いを測ると、中盤以降は素早い踏み込みで左を次々とヒットさせる。

 王者ペースとなった試合だったが、8R、アクシデントが起きる。西岡がロープ際に詰めて連打をみせたものの、バッティングにより、頭から出血。直後にマルケスの左フックを浴び、ピンチを迎える。

 ただ、ここも足を使ってうまくしのぐと、再び9Rからは相手をスピードで圧倒。10Rには左をボディと顔面に打ち分け、メキシコ人に反撃の糸口を与えない。西岡は最後まで手を緩めず、最終12Rも果敢に打ち合って本場の観衆を沸かせた。

 スピード、スタミナ、テクニック。どれをとっても35歳の王者に衰えは感じられない。本田会長は次戦で引退を明言したとはいえ、その強さは防衛を重ねるにつれて増すばかりだ。ラストマッチは来春の予定。その名を世界に刻んだ“スピードキング”は、どんな集大成をみせるのだろうか。