2日、第92回東京箱根間往復大学駅伝競走は、往路5区間(107.5キロ)で行われ、青山学院大学が往路連覇を果たした。青学大は1区からトップに立つと、5区まで先頭の座を譲らなかった。5区間中3人が区間賞の圧勝で、5時間25分55秒でゴールテープを切った。2位には3分4秒差で東洋大学、3位には5分20秒差で駒澤大学、4位には7分29秒差で山梨学院大が入った。

 

 新春の風物詩、箱根駅伝。往路のゴール地点である神奈川・芦ノ湖に一番先に襷を届けたのは、今年も青学大だった。

 

 東京・大手町からスタートする1区は、チームの火付け役を任される。連覇を狙う青学大は当日のエントリー変更で久保田和真(4年)を起用。1万メートル学生最速の明大・横手健(4年)、日本選手権3000メートル障害優勝の中央学院大学・潰滝大記(4年)らエース級が揃う中、5キロ14分13秒のハイペースでレースは展開された。

 

 15キロ通過しても集団は10人以上で形成される混戦。15キロ過ぎで仕掛けたのは関東学生連合の創価大学・山口修平(4年)だ。集団の横からスルスルと前へと出る。集団の隊列は縦に割れた。山口が集団に吸収されると、16キロ地点で久保田がスパート。食らいついたのは横手と早稲田大学の中村信一郎(4年)。16.5キロを過ぎて中村が離されると、久保田と横手のマッチレースとなった。

 

 六郷橋の上りで久保田が横手を突き放しにかかる。18キロを過ぎると、完全に抜け出した。佐藤悠基(東海大2年時)の持つ区間記録にも迫る力走。昨年も1区を任された久保田はわずか1秒の差で区間賞を逃していた。今シーズンは出雲全日本大学選抜駅伝競走、全日本大学駅伝対校選手権大会で区間賞を獲得。最後の箱根駅伝は歴代3位の1時間1分22秒のタイムで、区間賞を手にした。1年前の雪辱果たすトップで、一色恭志(3年)へと襷を渡した。その後は22秒差で明大、38秒差で中央学院大学、拓殖大学、48秒差で早大と続いた。

 

 エース区間となる“花の2区”は、先頭を走る青学大の一色を東洋大のエース・服部勇馬(4年)、山梨学院大のケニア人留学生ドミニク・ニャイロ(1年)が猛追した。10位で襷を受けたニャイロは3キロ手前までに服部を含む7人をごぼう抜き。3位にジャンプアップすると前を走る明大・木村慎(4年)の背中をとらえた。ニャイロは6キロ過ぎに木村をかわし、単独2位に立つ。

 

 一方、7位で襷を受け取った服部は、「首位を捉えられるような走りを心掛けた」と、しっかりと前を見つめていた。7.65キロあたりで木村を抜いて3位に上がる。一度はかわされたニャイロにも13キロ手前で追いついた。早くからマラソン挑戦を表明している日本長距離界のホープ・服部が、世界の長距離界をリードするアフリカ勢とつばぜり合い。16キロ過ぎにニャイロが引き離しにかかる。一旦離された服部だったが、18.75キロあたりで再び追いついた。

 

 区間賞争いは19.7キロを過ぎたところで服部がリードを広げる。序盤からオーバーペース気味に突っ込んでいたニャイロは、ついていくことができない。単独2位に躍り出た服部が、先頭を追いかける。青学大・一色には届かなかったものの、1時間7分4秒で2年連続の区間賞を獲得した。トップを走る一色は、安定した走りでリードをほぼ保ったまま後続に繋ぐ。

 

 戸塚中継所で一色からもらった襷を3区の秋山雄飛(3年)が引き継ぐ。箱根駅伝初出場の秋山は「この2年間、チームに貢献できず歯がゆい気持ちばかりだった」と燃えていた。ともすれば力みも生じかねない中で、運営管理車に乗る原晋監督からは、リラックスさせるような檄が飛んだという。監督にも助けられた秋山は、区間賞を獲得する走りで2位の東洋大に1分35秒と大きく差を広げた。次の4区・田村和希(2年)も区間賞で続き、2分28秒差と突き放した。

 

 往路のアンカー区間は、山上りの5区だ。トップで襷を受け、箱根の山に挑むのは、今年も神野。主将を任された今シーズンは2度の疲労骨折などで、満足のいくものではなかった。「この1年間は故障で苦しんだ。箱根を諦めた時期もありました」。“新・山の神”と呼ばれた昨年ほどの力強い走りではないものの、アップダウンのあるコースを軽快に走り抜けた。区間タイムは8人抜きの日本大学のダニエル・ムイバ・キトニー(4年)次ぐ2位。優勝タイムは5時間25分55秒。青学大は最後までトップを譲ることなく1区からの完全優勝を果たした。

 

 青学大の原監督は「昨年は大学創立140周年を優勝で迎えられた。今年は150周年に向けての第一歩」と連覇を喜んだ。今年は大本命と目される中での優勝。「前期は“楽勝”というような思いでやっていたのですが、駅伝シーズンに入りまして、プレッシャーを日々感じていました。学生たちが勢いある走りをしてくれて一安心」と選手を称えた。2位の東洋大との差は3分4秒。昨年ほどのセーフティーリードではないが、復路にも小椋裕介(4年)ら力のある選手を残している。6区の山下りで差をある程度守れれば、逃げ切れる公算が高い。まずは復路の出足がヤマとなる。

 

 往路の順位は以下の通り。

(1)青山学院大(2)東洋大(3)駒澤大(4)山梨学院大(5)早稲田大(6)日大(7)順天堂大(8)東海大(9)帝京大(10)拓殖大(11)城西大(12)東京国際大(13)日本体育大(14)中央学院大(※)関東学生連合(15)神奈川大(16)中央大(17)明治大(18)上武大(19)法政大(20)大東文化大

※OP参加のため順位なし

 

(文/杉浦泰介)