31日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージ第3戦が行われ、先行した東京ヤクルトが巨人を終盤に突き放し、対戦成績を2勝1敗としてファイナルステージ(11月2日〜、ナゴヤドーム)進出を決めた。2007年に同シリーズが導入されて以降、ファイナルステージが中日−巨人以外の組み合わせになるのは初めて。

◇ファーストステージ
 赤川、7回途中無失点の好投(ヤクルト2勝1敗、神宮)
巨人        1 = 000000001
東京ヤクルト   3 = 00100011×
勝利投手 赤川(1勝0敗)
敗戦投手 ゴンザレス(0勝1敗)
セーブ   村中(1勝0敗1S)
本塁打  (巨)小笠原1号ソロ
       (ヤ)相川1号ソロ
 ヤクルトが全員野球で巨大戦力を打ち砕いた。勝利に導いたのは脇役たちだ。
 まず先発の赤川克紀がしっかりとゲームをつくった。今季、8月のプロ初勝利をきっかけに6勝をあげた左腕は大一番にもかかわらず、持ち味を発揮する。適度な荒れ球で的を絞らせず、巨人打線に得点を与えない。

 すると3回、女房役の一発が飛び出す。巨人の先発ディッキー・ゴンザレスのスライダーを相川亮二がレフトスタンドへ。ステージ最終戦にして始めてヤクルトが先手を奪った。

 だが、赤川は中盤以降、ピンチの連続だった。4回は2死から2者連続の四球で一、二塁、5回はピッチャーのゴンザレスにもヒットを打たれて1死一、三塁、6回も1死二塁……。いつ点を取られてもおかしくない状況ながら、しっかりと腕を振り、巨人打線にタイムリーを許さない。赤川は7回も2死二塁と得点圏に走者を背負って降板。2番手の押本健彦が1番・坂本勇人を空振り三振にしとめ、この回もスコアボードにゼロを並べた。

 こうなると流れはヤクルトだ。4回以降、ゴンザレスに完璧に封じられていた打線は7回、5番・宮本慎也が内野安打で出塁する。続くウラディミール・バレンティンはショートゴロに倒れるが、併殺を狙ったセカンドが悪送球を犯し、二塁へ進む。ここで7番・森岡良介が2番手左腕の山口鉄也から放った打球はレフト前へ。一度は中日を戦力外になった男の一打に、二塁走者の代走・上田剛史が応える。前進守備を敷いていたレフトのアレックス・ラミレスの返球より一瞬早くホームへ頭から滑り込んだ。2−0。貴重な1点がヤクルトに入った。

 ヤクルトは8回から初戦で好投した村中恭兵がマウンドへ。今季はケガで低迷した左腕は8回をあっさり三者凡退で終わらせる。すると、その裏、2死2塁から途中出場の福地寿樹がタイムリー。同じくケガで苦しんだベテランが試合を決めた。

 巨人は最終回に小笠原道大が意地の一発を放つも、時すでに遅し。強力打線が不発に終わり、投手も含めた守備力の勝負に持ち込まれては勝ち目が薄かった。一方のヤクルトは得意のホームで持ち前の粘りが生きた。ファイナルステージで激突する中日には9月以降、1勝8敗と大きく負け越し、リーグ優勝をさらわれている。その雪辱を期し、名古屋へ乗り込む。