プロ野球の日本シリーズは20日、第7戦が行われ、小刻みに得点を重ねた福岡ソフトバンクが継投で中日を完封し、8年ぶり5度目の日本一(前身の南海、ダイエー含む、ソフトバンクでは初)に輝いた。

◇第7戦
 杉内、7回無失点の好投(ソフトバンク4勝3敗、ヤフードーム)
中日         0 = 000000000
福岡ソフトバンク 3 = 00110010×
勝利投手 杉内(1勝0敗)
敗戦投手 山井(0勝1敗)
セーブ   攝津(1勝0敗1S)
 悲願の日本一を達成した秋山幸二監督は歓喜の輪の中でひとりひとりと抱き合った。その目からは涙があふれていた。苦しんで苦しんだ末の日本一。だが、この試合に代表されるように、ソフトバンクは決して相手に流れを渡さなかった。

 何より投手陣が7戦を通じて中日打線を2点以下に抑えた。最終戦の先発マウンドを託された杉内俊哉は、序盤の3回を無安打に封じる上々の立ち上がり。すると3回、大事な先取点をあげる。先頭の多村仁志、長谷川勇也の連打をきっかけに無死満塁のチャンスをつくり、早くも中日の先発・山井大介をKO。代わってマウンドに上がった小林正人から1番・川崎宗則が押し出しの四球を選んだ。

 なおもソフトバンクは4回、中日3番手のマキシモ・ネルソンから先頭の松中信彦が四球で出塁。その後、2死一、二塁となって9番・山崎勝己がライトへ流し打つ。ライト・藤井淳志の返球が逸れ、ヒザの骨折明けの二塁走者・松中が懸命に走ってホームに還る。これで2−0。なかなか得点が取れない中日にとっては痛い失点だった。

 中日は5回に平田良介が内野安打で出塁して無死のランナーになったものの、次打者の初球に飛び出してアウトになるなどミスが出る。7回にはトニ・ブランコのヒットから2死一、二塁と走者をためるも、藤井があえなく変化球にバットが空を切った。相変わらずドラゴンズ打線は火を噴かない。

 こうなるとソフトバンクの勝利が近づいてくる。日本一を決定付けたのは7回裏の攻撃だ。中日が浅尾拓也を投入すると、1死から川崎が粘って四球で歩く。本多雄一がバントで送り、2死ながら走者は得点圏。ここで内川が浅尾の速球をセンターへ弾き返す。二塁走者の川崎が俊足を飛ばして生還し、リードは3点に広がった。

 ソフトバンクは8回から、このシリーズ好調のブライアン・ファルケンボーグを投入。いきなり3者連続の空振り三振に仕留め、中日に反撃ののろしすら上げさせない。ファルケンボーグは9回に先頭の井端弘和の打球を左ひじに受けて降板したが、森福允彦、攝津正と惜しげもなく投手を継ぎこみ、最後の3アウトをとった。

 中日はこの日も散発の4安打。投手陣の奮闘で7戦まで持ち込んだが、結局は打線の援護がなく落合博満監督の花道を飾れなかった。なおシリーズのMVPは第4、5戦と先制打を放った小久保裕紀が獲得した。40歳での受賞は最年長記録。優秀選手にはソフトバンクから杉内とファルケンボーグ、中日の和田一浩が選ばれ、中日・吉見一起は敢闘選手となった。