6日、リオデジャネイロ五輪男子日本代表選考会を兼ねた第71回びわ湖毎日マラソンが滋賀・皇子山陸上競技場を発着点に行われ、ルーカス・ロティッチ(ケニア)が2時間9分11秒で優勝した。日本人最高位には北島寿典(安川電機)が2時間9分16秒の2位に入った。“市民ランナーの星”川内優輝(埼玉県庁)は2時間11分53秒で7位、ロンドン五輪6位の中本健太郎(安川電機)は2時間12分6秒の8位に終わった。リオ五輪の日本代表は17日に開かれる日本陸上競技連盟の理事会で決まる。

 

 北島は気合いで五輪行きの可能性を手繰り寄せた。

 

 リオ五輪への最終選考レースとなったびわ湖には、川内、中本のほか前田和浩(九電工)など国際大会への出場経験豊富な選手が出場した。2時間4分台の自己記録を持つタデセ・トラ(エチオピア)は直前で欠場となったものの、2時間7分17秒のロティッチや2時間7分39秒のヘンリク・ゾストら国外の招待選手も参加した。

 

 まず選手たちに立ち塞がったのは厳しい暑さだった。スタート地点の天候は曇りながら20度近い気温。気力と体力の消耗戦が予想された。レースは序盤から海外勢の第1集団と日本勢の第2集団と分かれるかたちとなった。

 

 優勝を争う海外勢、五輪切符を狙う日本勢。ペースこそ違えど、1週間前の東京マラソンと近い展開となった。注目の日本代表争いは30キロまでに川内、中本ら有力選手が脱落した。そして30キロを過ぎて第2集団を飛び出したのは、初マラソンの丸山文裕(旭化成)だった。

 

 日本人トップに躍り出た丸山は、前をいくムニョ・ソロモン・ムタイ(ウガンダ)、シュラ・キタタ(エチオピア)を抜いて全体3位に浮上した。一方、優勝争いはロティッチとアルフォンス・フェリクス・シンブ(タンザニア)のマッチレースの様相を呈していた。

 

 リオ五輪の切符獲りへ深津卓也(旭化成)、石川末廣(Honda)、北島も諦めない。3人もキタタをかわし、順位を上げた。徐々に丸山との差を詰めていく。39キロ過ぎで石川が丸山をとらえ、日本人トップに立った。すると後を追いかけていた北島も40キロ手前で丸山を抜き、日本人2番手に上がった。

 

 途中何度も脇腹を抑えながら、苦しい表情を見せていた北島。驚異の粘りを見せる。残り1.2キロというところで、石川を抜き去った。その勢いに乗って、ラストのトラックで2位のシンブもかわした。優勝したロティッチには届かなかったものの、2時間9分16秒でフィニッシュ。ゴールの瞬間、両手でガッツポーズを作った。

 

 これで男子の代表選考レースは終了した。タイムのトップは福岡国際マラソンで3位の佐々木悟(旭化成)が記録した2時間8分56秒。北島はタイムで及ばなかったが、コンディションが難しい中での2時間9分16秒だから、選考の上位に立っていると見ていいだろう。遅咲きの31歳・北島が五輪代表に堂々と名乗りをあげた。

 

 上位の成績は以下の通り。

 

1位 ルーカス・ロティッチ(ケニア) 2時間9分11秒

2位 北島寿典(安川電機) 2時間9分16秒

3位 アルフォンス・フェリクス・シンブ(タンザニア) 2時間9分19秒

4位 石川末寛(Honda) 2時間9分25秒

5位 深津卓也(旭化成) 2時間9分31秒

6位 丸山文裕(旭化成)2時間9分39秒

7位 川内優輝(埼玉県庁) 2時間11分53秒

8位 中本健太郎(安川電機) 2時間12分6秒

 

(文/杉浦泰介)