缶コーヒーブランド「ジョージア」は、2011シーズンもプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結し、“選べ、チームのためのベストプレー”をコンセプトに「ジョージア魂」賞の表彰を全12回実施しました。「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、二宮清純の書き下ろしコラム「あのプレーにアンコール!」のコーナーをオフシーズンも更新します。間もなく発表される年間大賞や選考委員特別賞の受賞プレーはもちろん、惜しくも選ばれなかったノミネートプレーの中から二宮が印象に残ったものをコラムにして掲載します。

(写真:9月は驚異の打率.436で初の月間MVPに輝いたオリックス・後藤)
 当サイトでは今季の第2回と第11回「ジョージア魂」賞にそれぞれノミネートされたオリックス・後藤光尊内野手のコラムを特別に紹介します。

 オリックス・後藤光尊「いぶし銀の光を放つ“雑草の星”」

 華はなくても味がある――オリックスの後藤光尊はそんな表現が似合う選手だ。

 今季は自己最高の打率.312をマーク。不調のT−岡田に代わって一時は4番も任された。4番・セカンドで出場した8月11日の東北楽天戦では永井怜から初回に2ランを放ち、1〜9番まですべての打順でホームランを記録した選手になった。これはプロ野球史上9人目の珍しい記録だ。
「意外に少ないですね。(記録の)認識はありました。(夏場の連戦で)疲れているし、体力的にフルスイングできるのは1打席目しかない」
 なかなかの“知能犯”である。

「ジョージア魂」賞にも今季は2度ノミネートされた。最初は4月24日の埼玉西武戦。0−0の6回、二塁走者だった後藤は、北川博敏の送りバントで三塁へ進む。その時、相手捕手が打球を追いかけて本塁を空けたのを見逃さなかった。一気にスピードを上げ、倒れこむようにしてホームイン。ミスを見逃さない好走塁で先取点をもぎとった。

 2回目は9月15日の東北楽天戦。初回の1死三塁のチャンスで外角の速球に合わせてレフト線へポトリと落とすタイムリー。これでパ・リーグ歴代5位タイの26試合連続安打をマークした。ちなみに上位4人は長池徳二(32試合、阪急)、福本豊(30試合、阪急)、トニー・バナザード(28試合、南海)、広瀬叔功(27試合、南海)。あのイチローだってオリックス時代は23試合が最高だった。「世界のイチロー」を抜き、そうそうたるメンバーに迫ったのである。

「チームに貢献できる一本を積み重ねていきたい」
 本人がそう語ったように、9月はノーヒットだったのはわずかに1試合。最終的にクライマックスシリーズ進出を逃したものの、オリックスが9月にみせた快進撃(18勝6敗1分)は、彼のバットなくしてはあり得なかった。

 打ってはパンチ力と確実性があり、塁に出れば足もある。守っても内野はどこでもこなせる。1番〜9番まですべての打順を任されたことからも分かるように、チームには不可欠なバイプレーヤーだ。だが、入団時はドラフト10巡目。順位が示すように決して将来を嘱望された選手ではなかった。今なら育成選手としての指名だったかもしれない。

 だが、プロ野球界で成功するかどうかはドラフト会議の指名順で決まるものではない。あのイチローもドラフト4位の入団だったことはよく知られている。ちなみに今回、日本シリーズの胴上げ投手になった福岡ソフトバンクの攝津正もドラフト5位。「雑草の星」である後藤の存在は、今や下位指名や育成選手たちの目標である。

「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、第12回「ジョージア魂」賞にノミネートされ、今季のパ・リーグ新人王に輝いた埼玉西武・牧田和久投手について二宮清純の書き下ろしコラムを掲載中!
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