160317IMG_5060(加工済み)

(写真:代表選手を発表する日本陸連幹部。左から酒井強化副委員長、尾縣専務理事、麻場強化委員長)

 日本陸上競技連盟は17日、東京都内で理事会を開き、リオデジャネイロ五輪の男女マラソン日本代表6名を決定した。女子は既に内定を得ていた伊藤舞(大塚製薬)に加え、国内選考レースで結果を残した福士加代子(ワコール)、田中智美(第一生命)が選ばれた。一方、内定者ゼロだった男子は、国内選考会上位の佐々木悟(旭化成)、北島寿典(安川電機)、石川末廣(Honda)が順当に代表入りした。

 

 昨年は物議を醸したマラソンの代表選考だったが、今年は無風だった。日本陸連の尾縣貢専務理事は「満場一致で決まった。現状でのベストメンバー」と選考に胸を張った。

 

 女子は昨年8月の世界選手権で7位入賞を果たした伊藤が早々に代表内定を決めた。残る2枠を11月のさいたま国際マラソン、1月の大阪国際女子マラソン、3月の名古屋ウィメンズマラソンの3レースで争った。日本人最上位はそれぞれ吉田香織(ランナーズパルス)、福士、田中だった。その中でタイム上位の福士、田中が選ばれた。

 

 日本陸連が定める派遣設定記録(2時間22分30秒)をクリアした福士、積極的なレースで勝負強さを発揮した田中の選出には誰もが異論はないだろう。大阪国際終了時の段階で福士に内定が出ないことが話題になったが、これは日本陸連が開示していた選考基準に則ってのものである。尾縣専務理事は「(大阪国際で)内定を出すのは名古屋に出る選手にダメージが大きい。たとえ0.1%の可能性であっても内定とは言えない」とコメントした。

 

 一方で男子は世界選手権での内定はなし。2時間6分30秒の派遣設定記録を突破した者もいなかった。この記録は10年以上破られていない日本記録(2時間6分16秒)に近い数字である。編成方針を<本大会でメダル獲得を含めた複数入賞を目指す選手団編成とする>と定めているために高い目標となっている。

 

 とはいえ代表に選ばれた佐々木、北島、石川に希望がないわけではない。尾縣専務理事によれば、この3人の持ちタイムは世界ランキング(各国3名まで)で20位以内に入るという。「戦えるレベル」と3選手に期待を寄せる。

 

 酒井勝充強化副委員長が「個性派である」と評する6人。いずれも五輪でのマラソンは初代表(福士はトラックレースで3大会に出場)だ。フレッシュなメンバーはリオ五輪でどんな走りを見せてくれるのか。アフリカ勢の独壇場に新たな風を吹かせたい。

 

(文・写真/杉浦泰介)