今季の開幕戦は群馬ダイヤモンドペガサスと戦い、1勝1分けと幸先良いスタートを切ることができました。本拠地HARD OFF ECOスタジアム新潟での開幕戦は、始球式にアイドルグループのNGT48を呼んだり、サポーターやスポンサーの皆様のお陰で観客が沢山来てくれたので、ベンチも“勝たなければいけない”という気持ちになりました。オープン戦ではあまり良い結果が出ていなかったので、若干の不安要素はありましたが、本拠地で初白星を挙げることができて良かったです。

 

 中でも外国人のダリル・ジョージの活躍が目立ちました。開幕戦では、初回に2死からジョージがヒットで出塁して先制点を掴みました。これを機に“2死からでも点を取れるぞ”という意識が選手に大きく刻まれたと思います。3番のジョージはいいところで打ったり、チャンスメイクをしたり、様々な場面において頼りがいのある選手です。そういう選手がチームにいることはすごく心強いです。

 

 ジョージの前を打つ1番・野呂大樹、2番・渡辺貴洋も良い仕事をしていました。彼らが出塁できたので、攻撃パターンがうまく機能しました。先頭の野呂が出塁して走ってくれたら、次の渡辺が足を生かした攻撃やバントなどでチャンスを広げられます。今季から野手へ正式に転向した渡辺は、昨年よりもミート力が増してヒット性の当たりが増えました。彼には持ち前の俊足でいろいろな小細工をしてくれることを期待しています。今のところ打順がうまくハマっているので、当分は動かさずに戦う予定です。

 

 下位打線に関しては若手が入れ替わる可能性が高いです。彼らに求めることはフォアボールでもヒットでもいいので、1つでも多く出塁すること。2戦目に8番レフトでスタメン出場した古澤敦也は、試合で経験を積んでいくことで成長が期待できる存在だと思います。彼の課題はバッティング以上に、まずは守備力を上げることなので、日々の試合の中で技術を磨いて欲しいと思います。

 

 2戦目は延長戦の末、5-5の引き分けに終わりました。相手はどんどんいいリリーフを起用してきたので、簡単には打てませんでした。これからはどんな球にも対応できるように、対策を練っていかなければいけません。試合の中盤以降にバントミスがあったので、“送る時はきちんと送る”ということを徹底していきたいと思います。

 

投打の中心選手

 昨年までチームの中心にいた投手の間曽晃平と捕手の平井進也が抜けたことで、チームは大きく変わりました。今季の打の中心は5番の纐纈隼基です。やはり「3番・4番・5番」を打つ選手が重要になります。ウチの場合は3番と4番が強打の外国人なので、連続で対戦を避けられる可能性があります。そうなった時に、5番の纐纈がしっかりランナーを還せなければなりません。となると、今季の打のキーマンは纐纈でしょう。

 

 投の中心は、開幕投手を務めた中西啓太です。彼は6回3分の2を3安打2失点で勝ち投手になりましたが、その内容に満足せず「スピードやコントロールがまだまだ全然ダメでした」と話していました。中西自身が感じた課題をシーズン中に克服してレベルアップを図って欲しいですね。2戦目に登板した前川哲は、初先発で緊張しながらもしっかりと投げていました。初回にいきなり2失点を喫しましたが、緊張からか本来の投球ができていなかった。初回以降は自分の球をしっかりと投げていたので、これから場数を踏むことでチームに貢献してくれる投手に成長していくでしょう。

 

 15日に再び群馬と戦います。群馬は投打で力があるチームです。こちらも打撃力は引けをとらないので、勝敗は先発ピッチャーがどれだけが抑えてくれるかにかかっています。やはり野球はピッチャーが好投してくれれば、勝ちゲームに持っていきやすい。彼らの頑張りに期待したいです。

 

 昨年は日本独立リーグの日本一を決めるグランドチャンピオンシップに出場しましたが、四国アイランドリーグplusの愛媛マンダリンパイレーツに敗れて、あと一歩のところで日本一に届きませんでした。今年こそ日本一を達成するために、まずはBCリーグ制覇を目標にして戦い抜きたいと思います。そして選手をレベルアップさせながら、チームの勝利だけではなくNPB入りする選手を1人でも多く育て上げていきたいです。

 

(1) 赤堀元之(あかほり・もとゆき)>:新潟アルビレックスBC監督
1970年4月7日、静岡県生まれ。静岡高時代は2年時にエースナンバーを背負い、夏の甲子園に出場した。89年、ドラフト4位で近鉄に入団。主にクローザーとして活躍し、最優秀防御率1回、最優秀救援投手5回を獲得する。04年限りで現役を引退し、翌年からオリックスのコーチに。10年には韓国のSKワイバーンズのコーチ、11年に再びオリックスのコーチを4年間務めた。15年より、新潟アルビレックスBCの監督に就任。昨年は前期リーグ優勝すると、地区チャンピオンシップ、リーグチャンピオンシップを勝ち進み、独立リーグ日本一を決めるグランドチャンピオンシップに出場した。現役時代の通算成績は380試合、58勝45敗139セーブ、防御率2.88。
(写真:(C)新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ)


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