3月26日(月)
【高校野球】
◇1回戦
 近畿王者の智弁、逆転勝ちで初戦突破
早鞆(山口)      2 = 000100010
智弁学園(奈良)   5 = 00005000×
【本塁打】
(智)小野
 先制したのは元プロ野球選手の大越基監督率いる早鞆だった。3回まで智弁学園エースの青山大紀(3年)に無安打に抑えられていた早鞆打線だったが、4回表、先頭の1番・中村要(3年)が俊足を生かし、内野安打でこの試合初めて出塁した。2番・永久公晴(3年)が犠打を決め、ランナーをスコアリングポジションに進める。3番・宮崎竜之介(3年)は空振り三振に倒れるも、4番・木村雄馬(3年)が真ん中に甘く入った直球を弾き返し、左中間を深々と破る二塁打を放った。これで中村が生還し、早鞆に待望の先取点が入った。投げては早鞆の先発・堀田大生(3年)が、4回まで智弁学園打線に1本のヒットも許さない好投を披露した。

 しかし5回裏、その堀田が智弁学園打線につかまる。1死から8番・山口悠希(3年)がチーム初安打を放つと、9番・竹田壱哉(3年)が犠打を決め、2死二塁とした。すると、堀田の制球が大きく乱れる。1番・中道勝士(3年)を死球、2番・浦野純也(3年)を四球で出し、満塁としてしまう。このチャンスに智弁学園は、エースの3番・青山が自らのバットで2点タイムリーを放ち、逆転に成功した。さらに4番・小野耀平(3年)が試合を決定づける3ランを放ち、智弁学園が一気に4点のリードを奪った。

 それでも堀田は6、7回を無安打に抑え、智弁学園に追加点を許さなかった。堀田の力投に応えたい早鞆打線は8回表、先頭の7番・山本樹弥(3年)が二塁打を放ち、久々に得点のチャンスをつかんだ。8番・原田翔次(3年)がセカンドフライに倒れると、力投を続けてきた堀田に代わって代打に送られた川人祥威(3年)も空振り三振に倒れ、2死となる。しかし、続く中村がタイムリー二塁打を放ち、1点を返した。

 そして3点ビハインドで迎えた最終回、早鞆は先頭の宮崎が右中間フェンス直撃の二塁打を放ち、最後の反撃に出た。しかし、後続が続かなかった・木村がショートゴロに倒れると、5番・間津裕瑳(3年)の痛烈な打球はセカンドライナーに。これに二塁ランナー宮崎が帰塁することができず、併殺となってゲームセット。5回に見事な集中打を見せた智弁学園が逃げ切るかたちで初戦突破を果たした。

 エース柳、3安打完封
高知         0 = 000000000
横浜(神奈川)   4 = 20001010×

 3季連続出場の横浜が高知の2年生エース坂本優太の立ち上がりを攻めた。1回裏、先頭の1番・拝崎諒(3年)がヒットで出塁すると、2番・宍倉和磨(3年)の犠打で二進する。3番・田原啓吾(3年)が四球で出塁し、1死一、二塁とすると、4番・山内達也(3年)が走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、横浜が2点を先制した。さらに二者連続の死球で1死満塁となる。しかし、ここは坂本が二者連続で三振を奪う力投を見せ、最少失点に抑えた。坂本は2回以降は立ち直りを見せ、4回までほぼ完璧なピッチングで横浜に追加点を許さなかった。

 2年生エースの力投に応えたい高知打線は5回表、5番・岡崎賢也(3年)が一、二塁間を破るヒットで出塁し、この試合初めて無死からランナーを出す。しかし、6番・政勇磨(3年)が送りバントを試みるも、ファウルフライとなってランナーを進めることができない。その後も7番・股川涼有(2年)はレフトフライ、8番・坂本は二ゴロに倒れ、得点に結びつけることができなかった。逆にその裏、横浜が待望の追加点を挙げると、7回裏にもダメ押しとなる1点を挙げ、流れを引き寄せた。

 高知は8回表、代打攻勢で勝負をかけた。1死から力投を続けてきた坂本に代えて奥田大貴(3年)を打席に送った。その奥田の痛烈な打球を横浜の一塁手が弾き、奥田が出塁。さらに横浜エースの柳がボークをとられ、奥田は二進する。しかし、同じく代打出場の北代滉(3年)はファーストフライに倒れると、1番・稲尾茅(3年)も投ゴロに倒れ、またもランナーを返すことができなかった。

 そして迎えた最終回、高知は2番からの好打順だったが、三者凡退に切って取られ、ゲームセット。昨秋の大会で打率4割5分2厘をマークした主将で4番の法兼駿の前に一度もランナーを出すことができなかった高知。その法兼も厳しいコースを攻められ、本来の力を発揮することができなかった。何度も大きなチャンスを高知・坂本の好投に阻まれ、なかなか波に乗り切れなかった横浜だったが、エース柳が高知打線を3安打に抑える完璧なピッチングを披露し、完封勝ちで2回戦進出を決めた。

 春初勝利を完封で飾る
鳥羽(京都)      0 = 000000000
聖光学院(福島)   2 = 00000110×

 聖光学院が初回、ヒットと四球で1死満塁と先制のチャンスをつかんだ。しかし、ここは鳥羽のエース五味拓真(3年)が踏ん張る。5番・安西聡(3年)をセカンドフライ、6番・関根涼(3年)をセンターフライに打ち取り、無失点で切り抜けた。3、5回にもランナーをスコアリングポジションに進めた聖光学院だったが、ここも得点に結びつけることができない。一方の鳥羽も昨秋は防御率0.15を誇った聖光学院エースの岡野祐一郎(3年)の前に5回までわずか」1安打に封じられた。

 ゼロ行進が続いたこの試合、明暗が分かれたのは6回だった。まずは鳥羽が1死から1番・枝勇樹(3年)がチーム初の長打となる二塁打を放ち、先制のチャンスをつかむ。しかし、2番・神崎友輝(2年)は二ゴロ、3番・伊阪朋寛(3年)はレフトフライに倒れた。均衡が破れたのはその裏だった。聖光学院も1死から5番・安西聡(3年)が二塁打で出塁する。しかし、続く関根の打球は平凡なゴロに。すると、この打球に飛び出した二塁ランナー安西が二、三塁間に挟まれ、その間に関根が二進する。しかし、二塁ベース上で守備妨害をとられ、2死二塁となる。この嫌な流れを断ち切るかのように、7番・京田世紀(3年)が外角の変化球をセンターへきれいに弾き返す。安西が一気に三塁をまわり、先制のホームを踏んだ。

 さらに7回裏、先頭の9番・岡野がヒットで出塁すると、1死後に2番・平野雄馬(3年)の犠打で二進する。続く3番・長井涼(3年)が四球で出塁し、2死一、二塁とした。ここで4番・園部聡(2年)が外角低めの直球をきれいにセンターへ弾き返した。二塁ランナー岡野が好走塁を見せ、聖光学院が2点目を挙げた。そして最終回、鳥羽の攻撃をわずか4球で三者凡退に切ってとった岡野は、2安打1四死球と完璧なピッチングで完封勝ち。聖光学院は出場3度目にして選抜初勝利を挙げ、2回戦進出を決めた。