ボクシングのWBAダブル世界タイトルマッチが4日、横浜アリーナで行われ、バンタム級では王者の亀田興毅(亀田)が挑戦者の同級11位ノルディー・マナカネ(インドネシア)を3−0の判定で下し、4度目の防衛を果たした。一方、スーパーフライ級王座統一戦では休養王者の清水智信(金子)が正規王者のテーパリット・ゴーキャットジム(タイ)に9R2分15秒TKOで敗れ、王座を失った。この結果、日本人の現役世界王者は8人に減った。
<亀田、笑顔なき防衛>

 広い横浜アリーナの会場が一番沸いたのは試合中ではなく、ラウンドインターバルで場内モニターにリングサイドで観戦していた元東北楽天監督の野村克也夫妻が映し出された時だったのではないか。そう感じるほど、低調な内容だった。

「なるべく早いラウンドで倒したい」と試合前に語っていた亀田にとっては予想外の苦戦だ。その原因として、王者は2Rに左拳を痛めたことを明かした。低い体勢で来た相手の頭を殴ってしまったのだという。
「左を痛めて闘い方が変わった。踏み込んでパンチ打たれへんし、(打つのを)ためらってしまう。ごまかしながらやっていた」

 ただ、得意のパンチが使えなかったことを差し引いても、決して褒められた試合ではない。頭を下げてプレッシャーをかけてくる相手の出足を止められなかった。沈み込みながら遅れ気味に打ってきた挑戦者の右フックを繰り返し被弾した。中盤まではボディ打ちが目立った程度で攻撃も単発だった。「ええボディがみぞおちに入っていたんやけど、まだまだやな」と本人も首をかしげた。

 後半はようやくワンツーでリズムを取り戻して圧倒したものの、ひとりのジャッジはわずか2ポイント差と際どかった。判定の結果が場内に発表されると、ブーイングがこだまし、多くの観客が勝者のインタビューも聞かず、席を立った。観衆9000人と発表された横浜アリーナには空席が目立ち、冷たい空気が流れていた。

「勝って当たり前。内容が問われる選手になっている。1から出直したい」
 王者も自らの立場はよく分かっている。4度の防衛を果たしているとはいえ、この日のマナカネも含め、4人の挑戦者のうち3選手がランキング10位以下。本人はつねづね「ビックマッチをしたい」と語っているだけに、そろそろ骨のある相手と勝負をしてほしい。