10月11日、東京・有明コロシアムで行われた世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチで、挑戦者・亀田大毅(協栄)に3−0の判定勝ちを収め、初防衛を果たした王者・内藤大助(宮田)が12日、都内の宮田ジムで記者会見を行った。
 試合中にカットしたまぶたの傷が痛々しいものの、晴れやかな表情で姿を見せた内藤は「『国民の期待に応える』などと大きなことを言っていたので、まずは防衛できてホッとした」と試合から一夜明けての心境を語った。
(写真:初防衛を果たし一夜明け会見に臨んだ世界王者の内藤)
 昨晩は、地元・北海道の応援者の集まりに参加し、帰宅したのは夜中の1時。2時頃まで携帯電話は鳴りやまなかったという。
 試合から一夜明け、内藤は「自分で言いだしたこともあるけど、プレッシャーが一番つらかった。トレーニングの辛さは耐えられるけど、精神的なプレッシャーは逃げられない。本当につらかった」と試合前の心境を明かした。
 ファイトマネーの使い道について訊かれると「家族へのプレゼントとして旅行にでも行きたい。あとは無駄遣いせずにやっていきたい」と堅実なコメント。

 昨日の一戦は、挑戦者・大毅の反則行為によって荒れた試合となった。内藤は「(大毅は)タフな選手だった。ガードをすぐに破れるかと思ったけど、パンチも当たらなかった。思ったより良い選手だった」と認めた上で、「見えないところでの反則行為が本当に多かった。グランドで顔への肘を押しつけ、サミング(目潰し)、モモ打ち……。本当に腹が立った。セコンドが冷静だったので助かった。ああいう行為は自分が損するだけ。良い選手なのだから、クリーンに戦ってほしかった」と語った。

 宮田会長も、「我々が苦労して作り上げたチャンピオン。サミングなど、選手生命にも関わること。JBCには要望書を提出したい」と語気を強めた。
 内藤は、試合前、リング上で父・史郎氏から恫喝に近い挑発を受けたことにも触れ、「脅しとしか言えない。スポーツマンシップに反しているどころじゃない。反則の域を超えている」と語り、「(亀田サイドに対して)処分して欲しいとかいうつもりはない。ただ、亀田家のやっていることがいいと思われたくない。日本中が注目している試合で、ああいうことをやっちゃいけない。何もしなければ、ボクシングがあれでいいということになってしまう」と訴えた。

 亀田兄弟の長男・興毅との試合の可能性について振られると「昨日みたいなことになるならもう亀田家とはやらない。自分の身体が大事ですから(笑)」と語り、「ボクシングは真剣に殴り合い、すべてが終わったら不思議と対戦相手と抱き合える。今回のように後味が悪いのは一番嫌なこと」と強調した。

 今後の防衛戦など予定についてはまだ白紙の状態。「今はボクシングの“ボ”の字も聞きたくない(笑)。まずはしばらくゆっくり休みたい」と内藤。まずは十分に心身の休養をとり、次戦への鋭気を養ってほしい。
(写真:内藤への祝福と激励のため、宮田ジムを訪れた輪島功一氏(右))


JBC、“反則行為”ビデオ検証へ
 11日午後、亀田兄弟の父・史郎氏より「(大毅の)反則行為は故意ではない」とのコメントが発表されたが、試合中、史郎氏が反則行為を指示したととられてもおかしくない場面がテレビ放映でも流れており、議論を呼んでいる。JBCは15日に倫理委員会を開きビデオ検証した上で、処分についても検討する構えだ。